五年の終わり、いつもと同じように逢い引きを終えた帰り、俺は三郎に言った。
…なんか俺、三郎のこと好きだわ。
まさかの泣き出した三郎に笑って、その手を引いて学園まで歩き出した。
兵助や勘ちゃんや、ハチや…不破さんに、笑顔で本当の恋人になりましたーって報告して、三郎は不破さんに抱き着いて、そのくせお互い繋いだ手は離さなかったから三人で転んだ。それに便乗した他の奴等と団子になって、笑う。
お前と繋いだこの手は、死ぬまで離してなんてやらない。
今日は六年の先輩達が卒業する日だ。
そして朝からずっとずっとずーっと三郎が纏わりついてくる。いっそ守護霊か背後霊かってぐらい一緒にいる。厠まで付いてくる。
「…三郎、それうざいと思うよ」
「え、嘘?!愁矢、私うざい?!」
「正直、若干」
「がーん…!」
いや、がーんとか言うぐらいなら離れろよ。腕さらに絡めてくるなよ。
ちなみに不破さんとは、俺達が恋人になりましたと報告した日から普通に会うようになった。…今まではつまり、あっちが避けていたんだろうか?よくわからん。
「だって…」
「付き合っていたって言っても元なんだから、普通に先輩のお見送りもしちゃダメって、三郎それ重いよ」
「…不破って何気にそういうことはっきり言うよなぁ」
そう?と首を傾げる様は、まさしく天使のように優しげなのに。
泣きそうな顔で、でもとだけどとだってを繰り返す三郎に、俺は苦笑した。
「三郎、性別上結婚はできないけどさぁ、卒業したら一緒に暮らそっか。まぁ、俺と三郎の勤め先にも寄るだろうけど」
「えっ!ほ、本当に?!」
「おう」
笑顔で頷けば、三郎は至極嬉しそうな満面の笑みを浮かべ、俺に思いっきり抱き着いてきた。あまりの勢いに、さすがに受け止め切れず後ろに倒れる。
「っ今日だけなら、立花先輩のとこに行くの…許す!」
「あはは、ありがとう」
俺と三郎がいちゃいちゃしていると、いつの間にか不破さんはいなくなっていた。
いつも思うが不破さんは空気読めすぎる。