「シリウスは、確か弟がいるんだっけ?」
「ああ。アモは?」
「私は一人っ子。弟君と仲良い?」
「…微妙」

あれから私の部屋でずっとシリウスとこんな感じで話していた。
単純で単調で何が楽しいのかわからない会話。私としては、早くもういいやと言ってほしい。
無意味でありきたりな会話は嫌いだ。
だいたい私はジェームズと普通の会話なんてしたことないし、ジェームズに対抗するのがそもそもお門違いだ。
ああもう、そわそわする。

「じゃあさ、シリウスはティファニーのこといつから好きだったの?」
「え」
「一般女子の普通の話って結構恋ばならしいよ?私はあんまりしないけど」

他人事のように言って、微笑む。
だいたい、私はシリウスを好きだと言っていてシリウスはティファニーを好きだと言っていて…なのに何でこんな状況になった。意味がわからない。

「…」
「そこで黙るか」

ティファニーの話抜きで話し続けるの、結構辛いんですけど。共通の友達で、ジェームズの話はタブーでしょ?リーマス君とピーター君に関しては、正直私あんまり知らないし。
私は一度ため息を吐いてから、なら少し路線変更するかと脳内を切り替えた。
私は一刻も早く、会話を切り上げたいんだ。

「ティファニーはね、甘いもの好きだよ。紅茶はミルクティー派で、砂糖は一つ」
「へぇ…アモは?」
「私は甘いものは少量なら好き。紅茶はストレート」

何でわざわざ私に話を振ってくるのか。照れているにしても…それは普通、自分を好きだと公言している女に言ったら勘違いするんじゃないの?確かに私はしないけど。

「シリウスは?」
「俺は甘いもん嫌い。紅茶はアモと一緒」
「へぇ、お揃いだね」
「お、おう…」

何故か吃ったシリウスに首を傾げる。今私、シリウスが吃るようなこと言っただろうか…?
あ。お揃いって男同士じゃあんまり言わないし、私もあんまり言わないな。ティファニーはよく言うけど。その一言から私の好意を感じとっちゃったとか…?


いや、それぐらいは許してよ。なら何で今私達話してるのって感じだし。
あー、気分落ちた。ただでさえテンション相当低かったのに。

「シリウス、私もう行くね」
「え。…何処に?」
「え」

行く場所とか、まるで考えてなかった。とりあえずこの空間から一刻も早く離れたくて。

「ジ、ジェームズのとこ」
「…」

あれ?ジェームズとよく話すからってシリウスは張り合ってたのに、私何でこんな逆効果なこと言ってるんだ?普通にティファニーって言えばよかったのに…!後の祭りだけど。
あぁあああ!気まずい!もうやだ!後のことは後で考える…!

「シリウス、私の部屋にまだいるつもりなら戸締まりはよろしくね!」

反応のないシリウスを自分の部屋に残し、私は逃げた。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -