私は頭がおかしいの。頭のネジ一本どころか、きっと頭を構成する大切な部品一個置き去りにして女の恥部から這い出たんだわ。
「…何処から突っ込んだらいいかわかんないねぇ」
「やんっ!ベラったらこんな昼間から…」
「アンタの頭ん中でアタシを汚すのやめてくれないかい?」
ベラに怒られたので自重しますぅ。夜までこの妄想は中断しますぅ。
まぁ、ベラが私の家の寝室に居るってだけで私はもう愛が溢れて今にも押し倒してにゃんにゃにゃんしたいぐらいなのだけど…。
「ベラ、ベーラ、愛してる」
「…アンタって、」
本当、頭おかしい。
そう呆れるように言ったベラに頭の後ろをぐいっと引き寄せられて、重なる影。触れるだけのそれはベラらしくも私らしくも無くて、まるで神聖な儀式のよう。ああ…嗚々、しあわせ。
ゆっくりとどちらともなく離れて、私はベラに微笑む。
「アンタは…アンタは、来なくて良かったのに」
何処に?なんて聞かないわ。私は頭がおかしいだけで、馬鹿じゃないもの。
だけどそんなの、ベラが複雑そうな顔で私を見てくれて、私を案じてくれて…ほら、些細な問題でしょう?
私は確かに、ヴォルデモート様なんか心底どうでも良くて、だけどベラがヴォルデモート様を大好きだから少しだけ嫉妬していて、何よりベラがヴォルデモート様に従いたいと言うから付いて行っただけ。私のホグワーツ時代の防衛術の成績、学年トップだったのよ?死喰い人なんか楽勝だわ。
「ベラを愛してるから、いいの」
「詐欺にでもあいそうだね」
「ベラ以外を愛す予定は無いから平気」
こんなにも狂おしく、自分の身体も心も侵食するように愛する事なんて、二度とあるわけがないもの。
私はベラの首の後ろから背中にかけて腕を回し、身体を密着させるように抱き着く。お互いの心音が聞こえるこの距離は、一つになれたみたいでしあわせ。
「じゃあ、」
ふいに、耳元でベラが私をあざ笑うような低い声を出す。
私の背中を、気持ち悪くてだけど中毒性のある何かが駆け抜ける。ああ、イヤ、もう、ぞくぞくするの。あいしてる。
「じゃあもし、アタシが本当はなまえを愛してなくて、アンタを利用してるだけって言ったらーーどうする?」
私は間髪入れずに答えた。
「本望よ」
例えば貴女の為になるんだとしたら、私いっそ死にたいぐらいなの。うふふ。
お題:
hakusei様より