女主短編 | ナノ




私の性格は我ながら最低だと思う。人で遊んでは飽きたら捨てて、ついでに妬みの視線は鼻で笑う。素晴らしき自己中の極み!たぶんスリザリン女子への嫌われ率八割越えはしてる。
でもほら、私かわいいから。人って所詮外見だよねー。それに常識ないわけじゃないし、そう、単に性格悪いだけだから。

「お前、レイブンクローのなまえだよな?」
「うん」
「今夜、俺の相手しない?」

目の前でにっこり笑った、私に見劣りしないぐらい顔の造形の整った男が誰かは知っている。シリウス・ブラック。私も有名だけど、この人もまぁ、中々の有名人。
私の噂って男を手酷く振ったり女を嘲笑したりするせいで、もうひっどいことになってるからなぁ。シリウス君は何を聞いたんだか。誰とでもすぐ寝る、尻軽ビッチな最低女とかかなぁ。

「うん、嫌」
「え…何で?」

私に断られるとは思ってもみなかったのか、シリウス君はさも驚いたとはがりに目を見開いた。
これはもしや、シリウス君が聞いた噂の私なりの想像もあながち間違っていないかもしれない。

「お生憎様、初対面の人に誘われて易々と夜の相手する程、男に飢えてないんだよねぇ」
「へぇ。なんだ、噂も宛てになんねぇな。……じゃあさ、そういうことはあんまやってねぇの?」
「むしろ処女ですよ?」
「…マジ?」
「マジ」

むしろ俄然やる気が出てきたという顔をするシリウス君に、思わずくすくすと笑う。シリウス君は目を見開き、それから少し血色の良くなった顔でにやりと笑った。
うん、さすがはイケメン。そういう笑い方も似合うなぁ。あ、レギュラスは弟だったっけ?遊ぶ相手のファミリーネームは記憶から消す主義だから思い当たらなかったけど、レギュラスとの遊びも、楽しかったなぁ。

「なぁなまえ、俺と友達になんねぇか?」
「うん、いいよ」
「っはは、それには即答なんだ!」

笑うシリウス君に、私も笑った。
シリウス君、私の噂詳しくは知らないんだろうなぁ。友達になるのって私の定石なんだけど。むしろシリウス君から言ってくれて嬉しいぐらいだよ。

「シリウス君、よろしくね」
「シリウスでいい。よろしく」

名前呼び捨ては、ゲームスタートの合図っていうのも、いつものことなんだけど。

「シリウス、じゃあ手始めにチェスでもしない?」
「チェス?俺かなり強いけど、なまえも強いのか?」
「強いよ」

私、噂が噂だから誤解されやすいんだけど、メチャクチャ頭いいから。
何てったって、シリウスは気づいてないみたいだけど、君最初っから私の掌の上だよ?

「勝った方が負けた方の言うこと一個聞くの。どう?」
「乗った」

さて、シリウス。
君は私をどれぐらい楽しませてくれるかな?





…ん?結局ゲームの勝者はどっちだって?
あはは!面白いこと聞くねぇ?

この勝負、最初っから私はもう勝ってるんだよ。だってシリウス、前から私を好きだもん。視線でわかるの、視線で。
シリウスの敗因は、私の噂の意味を、私が嫌われてる理由を、もっとちゃんと考えてみなかったことかなぁ?

ふふ。まぁ、もう途中で気づいても無駄だけど。その段階まで、堕とすから。
私が飽きるまでは精々楽しませてもらいますよ。ふふふ。


50000打リク:自己中な女主のドロドロシリウス夢(あり様へ贈呈)


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