ハーマイオニーは私の一番の親友だ。
ハーマイオニーはすっごくかわいいし、賢いし、優しいし、もう言うことなし!な自慢の親友である。
「ダンスパーティー、女の子同士で組むのも有りなら私間違いなくハーマイオニー誘ってた」
「ふふ、だったら私もなまえを誘ってたわ」
ハーマイオニーに思わず抱き着けば、ハーマイオニーも嬉しそうに抱き返してくれた。
あーあーあっ!ハーマイオニーの言葉が本当なら、もっとずっとずっと嬉しかったのに!
「ハーマイオニー好きー」
「私もなまえのこと好きよ」
ハーマイオニーは一生、自分と私の好きの意味が違うことには気づかないんだろうなぁ。
ああ、何でこんなに可愛いハーマイオニーは、ハーマイオニーをダンスパーティーのパートナーの最終手段になんかしやがっていた、ロナルド・ウィーズリーが好きなんだろう。あんなののどこがいいわけ?…なんて、わざわざハーマイオニーとの確執になりそうなこと言いやしないけど。
そんなこと考えてたのは、いつの話だったっけ?
何十年も経ってない、きっとついこの間の話だった。
「私ね、ロンと付き合うことになったの!」
そんなとびっきりのかわいい笑顔で言われたら、おめでとうって言うしかないじゃない。私じゃ、ハーマイオニーにこんなにかわいい顔させられなかったのに。悔しい。悔しい!
取り繕え、私。ハーマイオニーの一番の親友なんでしょ?
「私、ハーマイオニーになりたい」
だって、私がハーマイオニーなら私はハーマイオニーのもので、ハーマイオニーを手放さなくてよくて、我慢もしなくてよくて、したくもない祝福なんてしなくてよくて、ロナルド・ウィーズリーとも…とも…。
「…え、なまえ、その、まさかロンのこと…?」
不安げに綺麗な瞳を揺らして私を見るハーマイオニーに、私はいつかと同じようにハーマイオニーを抱き締めた。でも、いつかと違って抱き締め返されることはない。
口内で鉄の味がして、初めて唇を噛み締めすぎて切ったことに気づいた。
「あんな奴、大っ嫌い。世界で一番大っ嫌い」
泣きながら言う私に、ハーマイオニーが息を飲む音が聞こえた。
ハーマイオニーはきっとまた、勘違いするだろう。私がロナルド・ウィーズリーを好きで、無理して強がってるって。あー、そんなのありえないありえないありえない。虫酸が走る。
でもそれで、ハーマイオニーが私のためにってアイツと別れてくれるんなら、私は何だって我慢するし、私の全てをハーマイオニーに捧げるよ。ハーマイオニーみたいに綺麗じゃないけど、何でも言うこと聞くお人形になってあげる。
「ハーマイオニー、だぁいすき」
お題:
花洩様より