怪盗ジタン | ナノ
ガーネットはいつものように夜道を歩いていた。夜道を歩くのは好きだ。女王としての自分を忘れて自由に過ごせるから。
今日も月の下をガーネットは歩く。後ろから足音が聞こえた。

「また会いましたね」

月下に淡く浮かぶ白。いつものシルクハットにモノクルにマント。薄く笑みを浮かべていた。

「怪盗ジタン!」
「襲われてしまいますよ、レディ。男は常に狼なのですから」

ジタンはポーカーフェイスを崩さない。内心ダガーがこうして夜道を歩いているのが心配でたまらないのだ。しかし今のジタンの顔は怪盗だ。ジタンではなく怪盗なのだ。だからこうして寂しそうに歩いているダガーを抱きしめることも、キスをすることもできない。ジタンでないと駄目なのだ。怪盗の自分ではなくて、ジタンとしての自分でないと。そう考えるとなんだか悲しくなった。

「どうしてそんなに寂しそうにしておられるのですか。私でよければ話くらい聞きますが」

気がついたら口を開いていた。

「こうして夜道を歩いていると、本当の自分になれる気がするのです」

ダガーが口を開く。ジタンはびっくりした。まさか話してくれると思っていなかった。今の自分は怪盗なのに。

「何かおかしいですか?」
「いえ、まさか本当に話して下さると思っていなかったもので」
「……なんだかあなたといると落ち着くのです。私の好きな人にあなたはよく似ているから……」

その言葉を聞いて、ジタンの頭の何かが切れる音がした。気づいたら目の前のダガーを抱きしめていた。そして頬にキスを落とす。今の自分は怪盗なのに。

「あ、あの、ジタン……?」

ダガーの声にジタンはハッとした。おろおろとしているダガーにジタンは言い放った。


好きでたまらないからキスするのです

そしてポンという音とともにジタンは消えた。
残された薔薇を手にとって、ダガーはくすりと笑った。


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お題元:Largo

おめでとうの言葉とリクエスト、ありがとうございます!
リクエストは怪盗ジタンとのことで、楽しんで書かせてもらいました^^
怪盗ジタンが好きと言ってもらえてとても嬉しいです´`*
もし気にいらなかったら書き直させていただきますので、遠慮なく言ってくださいね
それでは改めてリクエストありがとうございましたー!

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