りんさくフェスタ | ナノ

幸福讃歌


「わー!桜ちゃんとっても綺麗!」
「いいな、いいな!」
今日は桜の結婚式だった。桜は美しい純白を身につけている。リカとミホは桜のドレスを見て、夢を膨らませているようだった。
「でもやっぱり桜ちゃん、六道くんと結婚するんだね!絶対そうだと思ってたもん」
正直最初はそう思っていなかった。でもあの時、りんねの告白を受けた時から、いや、自覚はせずともずっと前からこんな未来であればいいと思っていたのかもしれない。
「ねえ、桜ちゃん。プロポーズってどんな感じだったの?」
プロポーズの言葉は覚えている。「真宮桜と一緒に毎日この味噌汁を食べたい」だった。
「えー!で、桜ちゃんはなんて言ったの?」
「私もそう思ってるよ。て返したよ」
「ふうん、何か意外と淡白なんだねえ」
でも、あの時は本当にドキドキしたんだよ。とは桜は言わなかった。りんねからもらった甘い痛みは自分だけ知っていればいいかと思った。プロポーズを受ける時は緊張した。告白を受ける時も相当緊張したのだ。プロポーズが緊張しない訳がなかった。クラスメートから恋人を経て、新たな境界線を超えて今日からは夫婦となる。新しい関係へと期待と、ほんの少しの不安を胸に、桜は今日から新しい人生をはじめるのだ。

「そんな話をしたんだよ」
部屋のリビングで桜はりんねに控え室での話を伝える。りんねは少し恥ずかしそうでいて、でも幸せそうだなと感じた。桜も幸せだ。この気持ちが同じならとても嬉しいと思う。
「なら、おれはロマンチックな告白をし直した方がいいのかもしれないな」
なあ、真宮桜。とりんねが真っ直ぐに自分を見つめる。こんなに真剣な目を向けられて、逃げ出すなんて無粋なことはできなかった。りんねは余裕そうでいて、しかし耳はほのかに赤い。自分も平静を装えている自信はなかった。お互いにいっぱいいっぱいだ。
「おれは、真宮桜のことが大好きで、とても大事だ」
「うん」
「これから、色んなことがあると思う。それでも、おまえが今日も笑ってくれてたら、おまえが明日も喜んでくれているなら、おれはそれだけで幸せだ」
歯が浮くような甘い台詞だと思う。それが似合うりんねはずるい。こんなに桜のことを喜ばしてしまうりんねはずるい。
「ずるいよ、私だって」
桜は自分ができる限りの最高の笑顔をりんねに向けた。
「これから2人で、幸せになろう」


遥さま、素敵なリクエストありがとうございます!二人が幸せになるお話が好きとのことだったので、幸せを意識して書いてみました。こういう話は書いていてとても楽しいです。りんさくには2人で幸せを築いていってほしいですね!
少しでもお気に召せば嬉しいです。それでは、ありがとうございました!

150505 鞠音



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