るーみく | ナノ



冬だからか星が綺麗な夜だった。浄霊を始めた時は地面の裾の方にいた太陽はすっかり地に落ちて、まん丸い月が空に居座って私たちを大きく照らしていた。

「星が綺麗だね、六道くん」
「ああ、そうだな」
「昔は星なんてそこまで興味なかったんだけど、最近星が綺麗だなって思うんだ」

六道くんは無言だった。あんまり星に興味がないのだろうと思い、帰ろうかと提案する。六道くんは送って行くと言ってくれたので素直に送ってもらうことにした。寒い冬の空気を感じながら2人歩く。六道くんと一緒にいると少し火照った体が、冷たい空気に冷やされて心地よかった。しばらく歩いた後にふと、行く時に通った記憶のない道を歩いていることに気づいた。でも六道くんの方がこの辺りの地理には詳しいし、近道でも進んでいるのだろうと安易に考え、特に何も聞かず歩いた。

「ほら、真宮 桜」

しばらくして六道くんが急に口を開いた。目の前には満天の星空があった。

「わぁ……!」
「ここは絶好の星見スポットだからな」
「うん、綺麗だね」

星も綺麗だったけれど、私は六道くんが私のことを思って星見スポットに連れてきてくれたことが嬉しかった。

「ありがとう、六道くん。わざわざ連れて来てくれて」
「いや、こちらこそ、いつも差し入れとか、お世話になっているし……感謝している」

そういうと六道くんは照れ隠しなのか黄泉の羽織をわたしにかけてくれた。「寒いだろう」なんて言うけど、ジャージ一枚の六道くんの方が寒そうなのは目に見えて明らかだ。私は六道くんの後ろに回るとそっと黄泉の羽織の裾を持ちながら六道くんの腰に手を回した。六道くんは一度ビクリと肩を揺らしたが、ゆっくり私の手を六道くんのお腹に回すように握ってくれた。六道くんの手は骨張っていて、それでいて暖かかった。

「暖かいね」

ぽつりと呟いた言葉に六道くんからの言葉はなかったけれど、六道くんの私の手を握る手に少し力が入ったので、六道くんも同じ気持ちなのかと考えて嬉しくなった。


130131



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