るーみく | ナノ



ダイアモンドのような白くて冷たい雪が降るのを、りんねはぼんやりと眺めていた。
冬が本格的に始まり、今日はクリスマスイブ。貧乏だからケーキを買うこともなく、一人さみしい夜を過ごしていた。六文は今日は黒猫定例会らしい。りんね様のために何か調達してきますね!と張り切って出て行った。張り切って行ったのは黒猫定例会は暖かい部屋で行われるからだろう。クラブ棟はあまりにも寒かった。
せめて一人じゃなければ、気分はもう少し暖かくなるのだろうけれど、今日はりんね一人きりだった。真宮 桜は今日来てくれていない。自分達は所詮ただのクラスメートなのだから当たり前である。クリスマスイブはただのクラスメートなんかより、もっと大切な人と過ごした方がいいだろう。そこまで考えてりんねは胸が痛くなった。
ただのクラスメートと言っていても、りんねがそれ以上の感情で桜を見ているのはりんねも自覚していた。だから少しでも、りんねは一緒にいたかった。しかし桜は授業が終わるとさっさと帰ってしまい、邪魔が入るので話しかける隙もなかった。だからこんなに虚しいクリスマスイブを自分は過ごしているのだ。たとえ話しかけたとしても自分で桜を誘える自信などなかったが、こう考えなければ寒いクラブ棟で一人造花作りなんてやってられなかった。
作った造花が20本を越えただろうかという時、クラブ棟の扉がコンコンと音を立てた。誰だと思いながら扉を開けるとそこには先ほどまで考えていた彼女が何やらたくさん箱を持って待っていた。

「真宮 桜」
「六道くん元気?差し入れ持って来たよ」
「いつもすまん」

本当は飛び上がるくらい嬉しいのに、素っ気ない言い方しか出来ない自分を殴りたくなった。

「今日はイブだからケーキ作って来たんだー」

そんなことを言いながら真宮 桜は持ってきた箱からケーキを取り出す。ケーキは苺がふんだんに使われていて、まるで雪原にルビーが散りばめられているようで、コントラストがとても美しかった。

「真宮 桜、いつも本当にすまない。こんな素晴らしいケーキ……」
「六道くん。私は好きでしてるからいいんだよ」

真宮 桜はそう言ったかと思うとケーキを食べる準備をしている。おれは真宮 桜のその言葉の真意がわからず、頭の中でぐるぐるしていた。

「食べないの?」
「いや……いただきます」

よくわからないまま食べたケーキはスッキリと甘くてとても美味しかった。まあいいか、と思った。一人だったのに真宮 桜が隣にいて、仲良くケーキを食べれている。それだけでりんねは幸せで、満ち足りた思いだった。



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