るーみく | ナノ



校庭にりんねが座り込んでいた。何してるの?と桜がりんねに声をかけるとりんねは桜を見上げた。りんねの鼻の周りは赤く、長時間外にいただろうことを思わせた。

「鼻の周り赤いよ。寒いんじゃないの?」
「いや、大丈夫だ」
「そう?でもこんな寒いのに何してたの?」
「犬の霊がいたから遊んでやっていた」

ふとりんねの足元を見ると可愛らしい犬が尻尾を振りながらこちらを見上げていた。思わずりんねの隣にしゃがみ込む。

「へー、かわいいねこの子」
「生前あまり飼い主に遊んでもらえなかったのが未練らしい」
「そうなんだ」

桜が犬の頭を優しく撫でてやると、犬は目を細めながら成仏した。

「成仏したね」
「ああ、よかった」

お互いの息が白い。なんとなくりんねの赤い頬に手を当てるととても冷たかった。しかし、その冷たさがどこか心地よくもあった。

「な、ま、まみ」
「六道くんほっぺ、すごく冷たいよ。早く帰ろう」
「あ……ああ」

りんねとしては、桜と帰るためにわざわざ霊と遊んで待っていたのだから、桜の誘いは願ったり叶ったりだった。しかし、突然桜に頬に触れられたおかげでりんねの心臓は激しく高鳴った。桜の手はほのかに暖かく、生きている人の手の温もりを感じた。桜の手が自分の頬を離れて、その温もりが消えてしまうのがなんだか惜しく思えた。
ゆっくりと歩き始める桜の隣に立つためにりんねは歩みを進めた。手を繋ぎたい。ただ一言言えたらいいのにクラスメートという関係性がその言葉を発することをためらわせた。

「送って行く」
「いつもありがとう、六道くん」



121202



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