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「たまにはリンドブルムに来ないか?」

そうジタンに言われたのは3日前。久しぶりにアレクサンドリアを出るのもいいかもしれないと、ガーネットはリンドブルムに降り立った。
リンドブルムはこの前の雪で真っ白で、ガーネットはワクワクしていた。エアキャブに乗って劇場街に行く。目指すはタンタラスのアジトだ。劇場街に着くとすぐ見つけた。金色の髪に、ふわふわ触り心地のよさそうな尻尾。ガーネットは驚かしてやりたくて、そろそろと近づいて行った。
そろそろ、あともう少し。ジタンまで後数歩というところで、急に彼が振り向いた。

「やあ、ダガー」

ガーネットは少しがっかりしたものの、ふわりと微笑みを浮かべてジタンの名を呼んだ。

「驚かそうと思ったのに」
「ダガーが来たらすぐにわかるさ。さ、行こう!アジトで準備をしてたんだ」

ジタンとガーネットはどちらともなく手をつないで、アジトまでの道を歩く。アジトまで着くとルビィが出迎えてくれた。

「今日はリンドブルムでは節分っていうんだ」
「セツブン?」

ルビィがなにやら太い巻物を持ってきた。

「ジタン、これは?」
「これは恵方巻さ!」
「エホウマキ?」

ガーネットの頭にははてなマークが浮かんでいる。見兼ねたブランクが説明した。

「恵方巻を1本、喋らずに恵方を向いて食べるんだ」
「今年の恵方は確か南々東っス」
「ルビィの恵方巻はなかなか上手いずら」
「鰯もちゃんとあるでー」

机はたくさんの巻物と鰯でいっぱい。ガーネットは珍しそうに見ていました。

「ねえ、これ切らないの?」
「ああ、それはそのままかじるんだ。なかなかいいもんだぜ!ダガーはこんな食べ方したことないだろうしな」
「それじゃあ皆!あっちを向いて!」

皆がそれぞれ恵方巻を掴んで、南々東を向く。ガーネットもドキドキしながら目の前の恵方巻を掴んだ。大きく口をあけるが、上手くかぶりつくことができない。少しずつ食べていると、皆はもう半分くらい食べ終わっている。急ぐが上手く食べれない。涙目になりながら食べていると

「ダガーのペースでゆっくり食べればいいよ。みんな待ってるからさ」

ジタンが優しく声をかけてくれた。ガーネットは落ち着いて恵方巻を食べることができた。ルビィが作ってくれた恵方巻は、家庭の味という感じがして美味しかった。

「そろそろ豆まきでもしよかー」

ルビィの一声で皆が外にでる。

「ねえ、今から何をするの?」
「豆をまくんだ!鬼を豆を投げて追い出すのさ」
「鬼!?どこにいるの?」
「うーん…毎年鬼はシナがやってるんだ」

よく見るとシナが鬼のようなツノをつけている。

「はいこれ」

ルビィが渡してくれたのは大量の大豆。

「遠慮なくぶつけていいからな」
「たくさんぶつけないと鬼が逃げていかないっス」

ブランクとマーカスが笑いながら豆を投げている。シナは痛いずら!もっと優しくするずら!とかなんとか言いながら皆の豆を受けている。

「ほら!ダガーも!おにはぁーそと!」
「えぇ!?お、おにはぁーそと!」
「そうそう!ふくはぁーうち!」
「ふくはぁーうち!」

みんなが楽しく豆を投げているこの光景が、ガーネットはとても幸せに感じた。すると、不意に顔に感じた冷たさ。

「痛いッ!」
「あ、シナ!ダガーによくもやったな!」
「鬼も反撃くらいずら!」

シナが雪玉を皆に向かって投げている。豆まきは雪合戦に早変わりした。雪玉を作っては投げて、当てたと思ったら当てられ、夢中になって遊んだ。気づくと日が傾きかけていた。

「そろそろ終わろか」

皆がアジトに帰っていく。ジタンはガーネットと2人手を繋いで歩いた。

「また来年もやろうな!」
「ええ、約束よ」

二人は笑い合った。後ろには綺麗な夕焼け。

せかいいちすてきな
(今日をありがとう)





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去年書いた節分ネタを少し編集しなおして再アップ
構成がおかしい気もしますが、ネタとしては気に入ってたり。
ジタガネというよりガネ+タンタラスみたいな感じだけど
みんな仲良くわいわいしてるのって好きです。
タンタラスに入りたい



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