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今日はいつも頑張っているジタンに、たまには美味しい料理を作ってあげたくて、タンタラスのアジトにお邪魔して、料理を作ってみた。いつもはルビィが料理を作っているみたいだけれど、お願いして作らせてもらった。だけど全然上手くいかなくて、結局ジタンに料理は出せなかった。ルビィは気にすることないって慰めてくれたけど、やっぱり悲しくて、自分が世間知らずのお姫様だということを突きつけられたような気がした。
その日はタンタラスに泊まらせてもらって、ルビィと色々な話をした。ルビィが早起きして朝食リベンジする?って聞いてくれたから、私は今度こそ頑張ろうと思った。
彼女が簡単なものから始めると良いと勧めるので、私はサラダを作ることにした。レタスにトマト、ニンジンやアボカドを切り盛り合わせ、粉チーズや黒胡椒をかけて完成という何とも単純なサラダだ。
しかしダガーは初めて自分ひとりでまともに食べられる物が作れたのがとても嬉しかった。ルビィも色合いが綺麗と褒めてくれ、ダガーの気分は上向きだった。後はジタンが食べてくれたら、それだけでいい。
気がつけばジタンがサラダを食べるのを食い入るように見つめていた。

「お、今日のサラダの味付け、好きだ」

その言葉だけで、ダガーはとても嬉しかった。



「なぁ、ダガー。毎年7月6日にはサラダを作ってくれるのは、どうしてなんだ?」
「内緒よ。明日は七夕ね、ジタン。晴れるといいわね」
「……そうだな、晴れるといいな」

7月6日は私の中だけのサラダ記念日。ジタンはあの時のサラダのことを覚えていないかもしれないけれど、私の中ではすごく大きなことだったのよ。

「でも、もうダガーはサラダだけじゃなくて凝った料理も作れるだろ?」
「え?」
「明日の料理も楽しみだな」

7月6日は私の中だけじゃなくて、二人のサラダ記念日。




120706
FF9十二周年前夜祭



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