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※ジタンが怪盗です


















今日も怪盗ジタンは月の下を駆ける。お目当てはアレクサンドリアのとある財閥の元にあるビッグジュエル。
無事にビッグジュエルを手に入れ、それを月にかざしてみる。ジュエルは月明かりでキラキラと光るだけ。

「やっぱりこれも駄目、か」

明日返しにいこうと思いまた歩きだそうとすると、目の前にダガーが歩いているのが見えた。だから思わず声をかけてしまったのだ。

「こんな夜中に女性の一人歩きは感心いたしませんよ、レディ」

ダガーはハッとしてこちらを振り向く。いつものオレンジのピッタリとした服を身につけているところを見ると、どうやらお忍びのようだ。

「……怪盗ジタン」
「そう、私は怪盗。襲われでもしたらどうするのですか」

そうだ、出会ったのが自分ではなかったら襲われているかもしれない。いくらダガーがある程度戦えるとはいえ、ジタンは心配だった。

「夜に散歩するのが好きなのです」
「……ほう」

普段の自分へとは違い、敬語を使うダガー。いつもと違う彼女を見ているようで、なんだか新鮮だった。あわよくば、怪盗の自分も愛してもらいたい。と思うけれど、ジタンにはそんな大きな賭けをする勇気がなかった。

「月、綺麗ですね」
「あなたの方が綺麗ですよ、レディ」
「……。月明かりの下、こうして歩いていると、いつもと違う景色が見える気がするのです」

そうしてダガーは微笑む。月明かりに照らされて、とても美しく見えた。

「それでは今宵は私が魔法をかけて差し上げましょう」

ポンと音を立てて手から薔薇の花を一輪差し出す。ダガーは驚いた顔をしていた。

「……ありがとう」
「あなたの笑顔が見れればそれだけで嬉しいです。とりあえず今日はもう遅い。お帰りください」

そう言いジタンはひざまずき、ダガーの手の甲に唇を押し付けた。ダガーはくすりと笑う。

「そうね、そうさせていただきます」
「あと少し待てば、あなただけの騎士が迎えに参りますので、しばしここでお待ちください」

それではまた、月下の淡い光の下でお会いしましょう。

ジタンはそう呟くとポンと音をたててダガーの前から姿を消した。


不思議な魔法は音に溶けた

「ダガー!何してるんだい、こんなところで」
「ジタン!」

今ね、素敵な魔法をかけてもらったの



―――――
お題元:Largo

性懲りもなく怪盗ジタン
書いてて楽しいけど需要はあるのだろうか
なんだか好き勝手し過ぎてる感が…





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