BW1周年 | ナノ




「わたくしサブウェイマスターのノボリと申します!片側に控えるは同じくサブウェイマスターのクダリです」

今僕はサブウェイマスターのノボリさんとクダリさんと対峙している。隣にはトウコちゃん。結局あれよあれよと言う間に勝ち進んでサブウェイマスターのところまできてしまった。目の前でノボリさんがぺらぺらと喋っている。

「さて、マルチバトル。お互いの弱点をカバーしあうのか、はたまた圧倒的な攻撃力を見せるのか。どのように戦われるのか楽しみでございます。あなたさまとパートナーとの息がぴたりと合わないかぎり、勝利するのは難しいでしょう。ではクダリ、なにかございましたらどうぞ!」
「ルールを守って安全運転!ダイヤを守って皆さんスマイル!指差し確認準備オッケー!目指すは勝利!出発進行!」

クダリさんのいつもの前口上が終わると、二人はダストダスとギギギアルを繰り出してきて、バトルが始まった。


「負けちゃったねー」

今僕らはライモンシティに帰る電車に乗っている。結局2人には負けてしまった。やっぱりサブウェイマスターというだけあって、とても強かった。電車の窓ガラスには僕らがぽつりと座っているのが映っていた。

「ライモンシティに戻ったらバトルだよ、トウヤくん!」
「え、ああ。うん」
「どうしたのトウヤくん。負けて落ち込んでる?」
「いや別にそういう訳じゃ……」
「大丈夫!トウヤくん強いもん!きっと次は勝てるよ!」
「……ありがと」

こういう時、あたしが足を引っ張ってごめんね。とか、あたしのせいで負けちゃったね。とか、そういうことを言わないところがトウコちゃんの良いところであり、僕はそんなトウコちゃんがすきだ。
トウコちゃんはとてもカラフルだ。トウコちゃんが話すと周りはぱっと色づいて華やかになる。さっきは透明だった電車の窓ガラスだって、今ではなんだか温かみがあるように感じた。そんなことをぼんやりと考えながら僕らは電車に揺られていた。もうすぐライモンシティだ。





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テーマ「人外ファンタジー」
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