BW1周年 | ナノ




脳に酸素が行き渡っていないせいか、あたしの頭は上手く働いてくれない。どうしようもなく酸素不足だ。心臓はバクバクと音をたてて、必死にあたしの体中に血液を送っている。体が熱い、体に熱が篭っている。この熱をどうにかして逃したくて手でパタパタと自分を扇いでみたけれど対して変わりはしなかった。

「暑い……」

声に出して呟いたところで特に涼しくなる訳でもなく、トウコが吐き出した言葉は誰の耳にも入ることもなくすっと消えた。トウコは少し寂しくなった。今日はいつも一緒にバトルをする彼はいない、ただそれだけなのに。

湿度が高く、あまり気持ちが良いとは言えない日だった。空はどんよりとしていて、トウコの心まで沈んでしまう。今日は何だかとても彼に会いたくなって、全速力で走ってライモンシティまでやって来たのに、お目当ての彼はいなかった。そのまま帰るのも何だか癪に障るので、せっかくだからと乗ってみたシングルトレインも、いつも隣にいる彼がいないせいか気がはいらなかった。
別に約束をしている訳でもないし、恋人同士というような間柄でもないので、仕方ないというのは頭ではわかっていても、トウコはどこか腑に落ちなかった。このやり場のない気持ちをどうしたら良いのかわからず、トウコは道端の石ころを思い切り蹴った。石ころがぽちゃりと地味な音をたてて池に沈んでいくのをトウコはぼんやりと眺めていた。





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