ポケモン | ナノ



「やっほーナツキ君!」
「ああ……。あなたか……」

あたしはトウヤとのサブウェイが終わった後、観覧車の前にいるナツキ君に声をかけた

「……もしかして、もう一度観覧車に乗りたいのか?」
「うん!ナツキ君に聞いてほしいことあるんだー」
「い、いいだろう……。わたしも今日が恐怖を克服するその時と考えていたところだ」
「やっぱり?じゃあ早速…」
「わたしと勝負し、あなたが勝てたならば、また一緒に観覧車に乗ってあげよう」
「オーケー!負けないんだから」
「あっ、そう……。やっぱり勝負するの……か。しかたない、いいだろう……始めるとしようか!」

そう言ったナツキ君の目は少し泳いでいた。

「ゆけっ!ゴチルゼル!」
「いくんだ、ココロモリ!」

あたしのポケモンはゴチルゼル。ナツキ君はいつもと同じココロモリ。そうしてバトルは始まった。

「ゴチルゼル!うそなき!」

先攻はゴチルゼル。うそなきがしっかり決まって、ココロモリの特防が下がる。

「ココロモリ!メロメロ!」

ナツキ君のココロモリは♂、わたしのゴチルゼルは♀。メロメロが見事にきまり、ゴチルゼルはナツキ君のハハコモリにメロメロだ

「頑張って、ゴチルゼル!サイコキネシス!」

ゴチルゼルはメロメロに負けずにサイコキネシスを放つ。さっきのうそなきが効いていたのか、効果はいまひとつだったもののココロモリは一撃で倒れた。

「……なんだと」
「やった!勝った!ありがとうゴチルゼル」

ゴチルゼルも嬉しそうにゆらゆら揺れている。ナツキは賞金として1620円くれた。

「さあ!観覧車に乗ってもらうわよ!」
「………………し、しかたないな。恐怖を克服し、わたしが真のエリートへと進化する記念すべき瞬間だ。立ち会えるきみは幸せ者だな。ハ、ハハハ」
「なに言ってるのよ。ほら、早く」

わたしはナツキ君を観覧車に押し込むと、観覧車はゆらゆらとのぼってゆく。

「オオウ想像以上に高いアフウ想像以上に揺れる」
「そんなこと言ってないで。ほら、食べてよこのクッキー」
「動かないで揺れるでしょー!」
「本当へたれなんだから…」
「あ……もうダメ。限界、です。手、手繋いでもいい?」
「はいはいどーぞ」

そしてあたしはクッキーを取り出し、ナツキ君に渡す。もうすぐバレンタインデーだから、トウヤに渡すクッキーの練習をしている。味見役にナツキ君を選んだ、という訳だ。
ナツキ君に何度も泡を吹かしたけど、最近は食べた瞬間倒れたりしてないし、きっと大丈夫なはずだ。

「黒いね」
「チョ、チョコクッキーだから!」
「チョコクッキーってこんなに苦かったっけ?」
「ビ、ビターなの!」

どうやらクッキーは前途多難みたいだ


上手く焼けない

しかし観覧車にびびりながらもクッキーを食べてくれるナツキ君は可愛いな。とか考えていたら顔にでていたようで。
観覧車から下りた後ナツキ君に「あなたが若干微笑んでいるように見えるのは、わたしの気のせいか?」と言われてしまった。

「……まあ、いいだろう」
「え?」
「わたしはそう遠くないうち、恐怖を克服するだろう。なぜならエリートだからな!」
「う、うん」
「今日はこれで失礼するが、よーくよーく考えた上で、どーしても仕方なくやむなく観覧車に乗りたい時は、またわたしに声をかけてくれ」
「あ、ありがとう」

あと、とナツキ君は続ける

「クッキー、最初の頃に比べたら随分上達しているから、自信を持ってもいいと思う」
「……!」
「またよかったら作ってきてくれ」
「あ、ありがとう!」

また明日も観覧車でクッキー食べようね!と言ってナツキ君と別れた。明日はクッキー上手く焼けるといいなあ。



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お題元:sting
素敵なお題をありがとうございました!

わたしはトウトウのつもりで書いたのですが
ナツ主♀に見えるという罠。
いや、トウトウ←ナツということにしていて下さい
一応上手く妬けないのトウコ視点
かつバレンタインフラグ話



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