ジタガネ
ジタンはマイナスドライバーを握りしめながらふと空を見上げた。風が一筋そっと吹いた。ジタンの黄金色の髪をサラサラと揺らす。
「綺麗ね」
ダガーがそっと声をかけた。
「今のジタン、すごく絵になっていたわよ」
マイナスドライバーは余計だったかもしれないけれど、とダガーは笑いながら言った。
「仕方ないだろ。劇場艇の調子が悪いせいで、こうやって直してるんだから」
「あら、別に悪いなんて言ってないわよ」
そう言ってクスクスと笑うダガーの頬を風が撫でるとダガーの手入れの行き届いた黒髪がふわりと揺れた。ジタンはダガーの髪を一房手に取るとそっと唇を寄せた。
「今のダガーもすごく絵になっていたよ」
ジタンの青い瞳がダガーの黒い瞳をじっと見つめると、今まで余裕そうに笑っていたダガーの顔は途端に真っ赤になり、恥ずかしそうに目を伏せた。そんなダガーをとても愛しく感じ、ジタンはそっと抱き寄せた。もう手にマイナスドライバーはなかった。
「やっぱりマイナスドライバーなんかよりもダガーに触ってた方がいいや」
「なっ……!」
「なんだか落ち着くし、安心するんだ」
「……私も、ジタンと一緒にいるとすごく心地良いわ」
2人の間に風が通るスペースはなかった。
即興小説。お題が黄金の風で必須要素がマイナスドライバー
20130414/21:11