りんさく
六道くんはさ、と桜が唐突に話し出した。
「忘れたいこととかないの?」
「……どうしたんだ急に」
「何となく気になっただけだけど」
忘れたいことか、とりんねは考えた。
「……特に思いつかないな」
「そうなんだ」
そもそも忘れたいことなのだから忘れているのなら思い出さない方がいいだろう、とりんねは思った。
「真宮桜は……何か忘れたいことがあるのか?」
「え、私?」
桜が唐突に忘れたいことなど聞くものだから、りんねは桜が何か忘れたいことがあるのかと思った。
「うーん、どうだろ。ある、かも」
桜は意味深長な笑みを返しながら答えた。
「それは聞いてもいいことか?」
「うん、別にいーよ」
あのね、と桜は話し出した。ぷるぷるとした桜色の唇が開いたのを見て、りんねの胸が少し高鳴った。
先ほどまで桜が持って来てくれたポテトチップスを2人で食べていたせいか桜の唇は妙にギラギラと光っていて、光った唇にりんねは若干の色気を感じた。普段清楚なイメージの桜だからこそドキドキした。
桜が話していることも右から左で、りんねはぼんやりと唇を見つめていた。
「六道くん聞いてる?」
りんねは我慢の限界だった。
即興小説トレーニング15分の産物
お題が忘れたい即興小説で必須要素がポテトチップスという・・・
20130217/09:40