<シャンクス夢 >

しおりを挟む

≪ |



<失踪編>




「クソ.......。」


頭が割れるように痛い。

あァ、そうだった。


酒ーーーーーー。



シャンクスは白いシーツの上で、
ズキズキと痛む頭を押さえながら
昨日のことを思い出していた。




「お頭、辞めろ!」

「あいつが連れ去られたのは事実だ!
どう探すか考えるべきだ。」





無意識に覇気を垂れ流していた俺を
あいつらが止めたんだったか。

それで俺は部屋で酒を...。



ベッドの下を見ると数えきれないほどの
酒の入っていたビンが転がっている。



「俺のせいだ...。」


守ってやると約束したのに。

何が守ってやるだ。
そばにいることさえ
できていないじゃないか。



「どこにいるんだ......。」



こっちへこいと言ったあの時、
あいつは怒っていた。

あの時

俺がそばにいっていれば...。


一番情けないのは自分だが、
連れ去った奴らを殺したい。

これほどまでに怒りを覚える
自分に少し恐怖すら感じる。


どれだけあいつを愛しているのか、
どれだけあいつへの思いを
押し殺していたのか。

今なら分かる。



「...............。」


シャンクスは起き上がると、
壁に手をつき
ふらつく身体を支えながら
窓のそばへ向かい、窓を開けた。


心地よい、澄んだ風が流れ込んでくる。

その風の冷たさが、
シャンクスの酔いを覚ましていった。



「すぐに見つけてやるからな...。」



見つけたらその時は
自分の思いに嘘をつかずに
本当のことを伝えよう。

彼女と向きあおう。



「無事でいてくれ。」




そう願いながらシャンクスは
光を反射して
キラキラ輝く水面を見つめていた。





<捜索編>


もし人身売買にかけられたとしたら
シャボンディ諸島か...?

あそこならレイリーさんもいる。
あの人なら何か
知っているかもしれない。


そう考えた赤髪海賊団は、
船を進めシャボンディ諸島へ着いた。


「お前らはここで待っててくれ。
レイリーさんの所へは俺一人で行く。」

「お頭...。」

「夜には戻るさ。」








トントンーーーーッ。

店の扉をノックして入る。
何か情報が掴めればいいが...。


「いらっしゃ...
あ、用は分かってるわ。
もうすぐ帰ってくると思うから
そこで待ってて。」


どうやらその心配はいらないらしい。

椅子に座って出された酒を飲みながら
彼が戻ってくるのを待った。


カランカランとドアが開くと、
そこには依然より老いたものの
変わらないレイリーが立っていた。


「レイリーさんっ!!」

「おお!シャンクスかっ!
久しぶりだな!!どうしてまた...っ。」

「それが...。」

「あぁ、思い出した。言わなくていい。
あの子のことだろう?」


とりあえず酒でも飲みながら話そう
と、レイリーは店の奥へと進んだ。



「最近この辺りが荒れたのを
知っているか?」

「ああ、ルフィのやつが...。」

「その場に私も彼女もいたよ。
見ない間に随分、綺麗になった。」

「それであいつは!?」

「彼女とは後でここで
落ち合う約束だったんだが...。」



そう言ってレイリーは首を横に振った。

シャンクスは落胆した表情を
隠せないまま、
ビンに入った酒を一気に飲み干した。


「そう悲しむな。目撃者がいてな...。
北の海出身のルーキー。
トラファルガー・ロー、彼が
彼女らしき女を連れていたらしい。」

「......トラファルガー・ロー。」

「彼女なら、きっと大丈夫だ。
賢い子だ。上手くやっている。」


そう言ってレイリーは微笑む。


どれだけ大きな海賊団の頭となろうと
四皇だと騒がれようとも、この人と
ロジャー船長だけには敵わない。

いつだってこの二人は俺の憧れだ。



「ところで...シャンクス、君は
あの子の役目を知ってるのか?」

「役目?」

「なんだ、知らないで一緒にいたのか!
ふむ...君は知っておくべきだろうな。
教えてやろう。彼女の役割を...。」



ここでシャンクスは
いくつかの事実を知る。






天竜人、海軍、海賊
革命軍による小さな国々の紛争。


世界の至るところで歯車が回りだす。

均衡が保たれていた世界は、
少しずつバランスを崩し始めた。






しおりを挟む

1 / 6
≪ |

目次へ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -