<海賊船>

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「知りたかったことは知れた。もう隠す必要は無いもんね。そうよ、私は赤髪海賊団の一員。」

ペンギンは「なっ!?」と声をあげて驚いていたが、ローは眉一つ動かさない。ただ静かに名前を見つめるだけだ。

「どうして分かったの?」

「その太刀筋で確信した。俺はシャンクスと一度会ったことがある。」

本当はそれだけじゃないが...。





「船長ー!!大変だ、海賊船が!」

船内から青ざめた顔をして、船員の1人が走ってきた。

「3時の方向に確認しました!こちらに一直線で向かってきます。後10分ほどで肉眼でも見えるかと。」

「海賊の名は分かるか?」

「そ、それが...赤髪...。」

ローがニヤリと笑う。

「噂をすればだな。お前を迎えに来たか...。」

「どうしますか!早く逃げなきゃ。」

「その必要はねェ。」

そうしてる間にも3時の方向に、大型の船の影が見えた。掲げる海賊旗は髑髏の片目に、3本のラインが入っている。
間違いなくシャンクスの船だ。

「クソ、やっぱり向かってくる!戦闘の準備だ!」

ハートの船員達が慌ただしく、甲板へと武器を持って出てきた。初めて見る四皇に皆、緊張を隠せないでいた。中には足が震えている者もいる。

「大層な迎えだな。余程お前のことが大事なのか...クク。」

「シャンクス...。」





「お頭!発見しましたよ。トラファルガー・ローの船だ!よかった、潜水してなくて。」

「そうか!見つかったかっ!!」

シャンクスは今までに、見たことのないような笑顔を見せた。
ローの船との距離が近くなればなるほど、久しぶりの再会に緊張しているのか、ドキドキと拍動が激しくなる。

「船、横に付けますよ?」

「ああ、頼む。」

ローとの再会も久しぶりだ。彼らもまた名前と同じように、大きくなっているのだろう。

「楽しみだ。」





「戦闘の意思は無い。」

シャンクスはそう伝えて、船の手すりのそばに立った。そこからローの船を見下ろすと、ずっと会いたかった名前が見える。
どこも変わったところは無く、無事だったことに安堵した。


「ロー、久しぶりだな!いまじゃ立派なルーキー...。」

「前置きはいい。」

「ハハ!変わらねェなぁ。少しは再会を喜べ!な!?」

「......ちっ。」

「そう怒るな。名前が世話になった礼をしたい。」


シャンクスが目線を横にやると、ローの船に向けて縄でできた梯子が降ろされた。

「来いよ、飲もう!宴だ。

「船長...どういうことっスか?」

「赤髪が俺たちを船に?」

困惑する船員たちに、ローは手短に説明する。名前は本当は赤髪海賊団の一員で、シャンクスは迎えに来たことを。

「本当なのか...?」

「なぁ、名前ちゃん。」

悲しげな目線が名前に集まる。嘘だと言ってくれ、そんな風に訴えられた視線だった。

「ごめん、みんな...。」

名前は俯いた。重たい空気が流れる。それを断ち切るように、ギシっと縄の紐を登る音が聞こえた。

「船長!?」

「お前らはここにいろ。」





ローは船に乗ると、シャンクスの元へと向かう。空気がピリッと張り詰めていて、和やかな再会とはいかないようだ。

「他の奴らはどうした?」

「礼を受ける気はねェ。」

「そう言うな、久しぶりの再会だ。積もった話もある。それに...賢いお前のことだ。選択肢がないことぐらい分かるだろ?」

断れば首が飛ぶ。シャンクスの視線はそれを語っていた。どちらが強いのかは明らかだ。
ローは溜息をついて、手すりのほうへ移動すると、自分の船員たちを見下ろした。

「来い。全員だ。」





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