<真実>

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「さきほど戦争に敗れ王国を去った、というのは話しただろう?」

この王国こそがラフテル。そこにはそれぞれの道具の、正しい使い方が記されているらしい。

「...らしい?」

「ああ。」

我らが船長、ロジャーは自分の名前のDについて調べていた。彼の生い立ちもまた複雑だったからな。
我々は長い航海の間に今、君たちに話したこと、そこまでは突き止めたんだ。Dについての意味も、この海が全て繋がることも。

そしてラフテルに到着した。だが、そこからが分からなかった。

「でもロジャーは処刑台で...。」


おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!!この世の全てをそこに置いてきた!



「...あれは嘘だ。」

あともう少しで何か掴めそうな時、ロジャーは病気になった。治ることのない病気だ。
彼は間に合わないと踏んだのだろう。
処刑台のあの言葉はいつか自分の夢を叶えてくれる、誰かに宛てられたメッセージ。

「そんな数撃てば...みたいなこと。」

「私もそう思ったよ。だが、どうだ?この世は海賊の時代と化している。」

「信じられん...。」

「ハハハ。それもそうだ。だが、これが全てだ。」

私にもこの先は分からない。


この出会いは運命だ!!レイリー。
おれと一緒に世界をひっくり返さねェか!!?


まさか本当に世界をひっくり返すつもりだとは、誰も思わなかった。

だが、世界は全て繋がる。そうなった世界こそ、ひとつなぎの大秘宝ワンピース。そして別れた海が全て繋がったもの、それがオールブルー。

「名前。君はそのオールブルーに関係している。」





海は全ての生命の始まりだ。命あるもの海から生まれ、命が尽きたとき海に帰っていく。
この世界を地上を捕えるならそこは生きる者の国。海は地下、死者の国だ。
どちらの世界も自由であるべきだが、また世界がバラバラにならないように誰かが導かねばならない。
地上は海賊王となる者。そして地下は名前。

「君だ。」

首のアザこそ、その証。命ある者を生かすことも殺すことも、可能な力を持つという。その者を想い涙を流せば癒すこともできる。その者に深い憎しみを持てば、殺すことさえできる。

「知ってるのはこれだけだ。これ以上は私たちも知らない。」

「...ちょっと待って。話がよく分からないっていうか。」

「無理もない。今、話したことを信じたくないのなら信じなくていい。名前の自由だ。しかし、何かを知っていることと知らないことは違う。」

知っているということは、時に強みになる。と、レイリーは言った。

「ワシはずっと海にいたが、そんな話何一つ知らんかった。」

小さな溜息交じりにジンベエが言う。

「私は、私が人魚になれば誰かを癒すことができるとローに聞いた。でも命を奪うこともできるなんて。」

「怖いか?」

名前は小さく頷いた。レイリーはそれを見て小さく笑うと、そっと頭を撫で話を続ける。

「もし...。」

その力が本当だとしても、使うか使わないかは名前次第。何も恐怖を感じる必要は無い。
君は一人じゃないだろう?たとえ誰か悪しき者がその力を求めたとしても、君を守る者たちがいる。
それには私も含んでおるし、シャンクスも含まれている。

「それとも、私たちでは不安か?」

「ううん!それは違うっ!!むしろ十分すぎるくらいだよ。」

「ハハハ、ならば何も怖がることは無い。」





「そろそろ来るか...。」

レイリーが船の扉へと目をやる。何か聞くことはないか?と彼は聞いた。

「どうして私なんだろ?自分にそんな力があると思えない。第一、人魚になんてなれない。」

名前は自分の足を見た。

「では人魚は陸に上がれないと、名前は思っているのか?」

「ううん。それは違う。だって人魚は30歳になると尾ヒレが二股になって、陸上生活ができる身体になるから。」

「ならその逆の出来事が起きても、不思議なことはあるまい。」

この世界には説明出来ない出来事が、たくさんある。特にこの海ではな。何か物事を決め付けてしまうと、その先の未来を閉ざしてしまうことだってあり得る。

「夢を持たねば何も始まらん。」

レイリーはそう言っていたが、その考えは間違ってはいない気がした。

ずっと自分は人魚にはなれないとそう思ってきた。本当は人魚になりたくて、優雅に海の中を泳ぎたくて、仕方がなかった。
だが、周りの環境がそれを許してはくれなかった。

「名前。素直になる時も必要だ。」

「素直に?」

「ああ、その強い思いが夢や希望を引き寄せることもある。」

ちょうどその時、背後でガヤガヤと声が聞こえ出した。
もうこの話は終わりだ、とレイリーは話の内容を聞かれても良い内容へと変えた。

ローにはもう知り合いだということはばれているようなので、それからはロー達の目の前で至って普通にレイリー達と会話した。
ローにはそろそろ自分のことを話せ、と言われるだろう。そうなれば自分は赤髪海賊団の船員だと、告げることになる可能性が高い。この船を降りろ、と言われるのだろうか。でも、もう嘘を付いて誤魔化せる気がしなかった。

しかし、名前の頭はそれよりもレイリーから教えてもらったことで、今はずっといっぱいだった。

一度でいい。海の中を泳ぐことができたら。人魚になれたら。
そんな風に思ってもいいのかもしれない。名前の中で新しい気持ちが、芽生えかけてきていた。





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