救出
名前が目を開けてると牧野の背中が視界に入った。
「宮田さん…今名前さんに何しようとしてました…?」
名前を背後に庇うように立つ牧野は尋ねた。
「何って見たら分かるでしょう?」
淡々と答える宮田。先程とは違い落ち着いてみえる。
「どうしてですか宮田さん…!」
「牧野さんが悪いんですよ…俺の秘密知りましたよね?」
「…っ」
「どうしてって顔していますね。彼らが教えてくれましたここにいるのは皆、俺の知り合いみたいなものですから」
「じゃあやっぱり宮田さん貴方は…」
「…どういうことですか?」
名前には話が見えなかった。
「…宮田さんはここの住人です。作品集の中に見つけました絵画『シロウ』…それが宮田さんの正体です」
「宮田さんが絵画?」
信じられなくて宮田を見る。苦しげに言った牧野は嘘をついているようには見えず宮田は否定をしない。それが答えだった。
「名前さん逃げますよ」
「…逃げれると思うのですか」
低く言う宮田の顔に牧野は掛け声とともに青い人形を投げつけた。一瞬宮田はひるむ。その隙に牧野は名前の手を握り、逃げ出した。
「牧野さんあの宮田さんに投げたものは…?」
「ここに来るまでに、ずっと着いてきていたのでせっかくだから役に立ってもらいました」
持ち歩くの怖かったですけど持っててよかったですと牧野は言いながら二人は逃げるように先へ進んだ。