小説 | ナノ

 おにごっこ


(さりげなく宮田先生の妹設定)


悪意なんかなくてたまたま偶然のことだった。いや私がそう思っているだけで、隣で走っている須田君は違うかもしれない。

「やっぱり鬼がいないとつまらないよな」

須田君は楽しそうにしているからわざとかもしれない。後ろを少しだけ振り向いたら司朗兄さんがいる。いつも通りの無表情に見えるけどそれが逆に怖い。絶対怒っている。いきなり大量の豆を頭から落とされて怒らない方がおかしい。

「私も共犯扱いされてるよ…後で絶対怒られる」

落とした時に謝れば共犯扱いされなくてまだ軽い説教で済んだのかもしれない。謝ることが出来なかったのは今も繋いだまま放してくれないこの手のせいだ。だから今まで一緒に鬼ごっこするはめになった。この手を放す気もしない私もないから結局同罪なのかもしれない。

「大丈夫だって謝ればすむって」

だから目一杯楽しもうぜと楽しそうに笑う須田君に私は毒されてしまう。

「…うん。どうせ怒られるなら楽しんだ方がいいよね!」

けど少しだけ軽くなるように牧野さんのところまで逃げようと提案した私はやっぱり怖がってるのかもしれない。





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