◎ 困惑
誕生日おめでとうございます宮田先生。
笑顔と一緒に差し出されたハンマーと白いお面に宮田はどういう顔をすればいいか分からなかった。
「…なんですかこれは?」
数秒考え、宮田は名前に聞いた。
「プレゼントです」
名前はまだニコニコ微笑んでいる。悪意は一切感じない。悪気はないのだろう。質が悪い。宮田は内心ため息をついた。
「宮田先生の誕生日ですけど、今日は13日の金曜日でもあります」
「…それがどうかしましたか?」
13日の金曜日。宗教上忌む日だとか言われるが、彼女が言いたいのはそんなことではないはず。
そこまで考えて、宮田の脳内にあることが浮かぶ。先月の話だ。名前が宮田の家にやって来て、苦手だけど見ないといけないからと一緒に見ることになったホラー映画。あの映画のタイトルがそんな感じだった。
「…これで俺に仮装をしろってことですか」
「はい。宮田先生ならあの映画のキャラクターよりかっこよく出来そうです」
プレゼントといえるのかこれは!
宮田は叫びたくなった。けれど、期待してかじっと見つめる名前に宮田はどうすればいいか分からなくなった。
***
このあとケーキはちゃんと食べました。
お誕生日おめでとうございます宮田先生
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