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 お迎え


須田君と姉弟設定


図書館でも行って雨が止むまで時間つぶそう。授業が終わった窓から見えた鈍色の空と大量に降り注ぐ雨を見て名前は決めた。傘を持っていなく、濡れて帰るのも嫌だったからだ。バイトも何もない日だから急いで帰る予定もない。ぼんやり暇つぶしの方法を考えながら、教室を出て歩いていると見慣れた茶色の髪が名前の目に止まった。よく見ると、名前の知っている人だった。

「恭也?」

名前の弟、恭也がいた。名前を探しているのか、大学が珍しいのかキョロキョロ辺りを見渡している。制服ではなく私服姿なので、違和感なく周りに溶け込んでいる。一年生だと言われても違和感はないだろう。名前も気付かずに通り過ぎて、後から恭也から文句言われたかもしれない。どうしているのか分からないが、先に見つけてよかった。名前はホッとした。

「恭也」

もう一度呼ぶと、気づいた恭也が名前の方へやって来た。

「やっと来た遅いよ姉ちゃん」

「遅いって私さっき授業終わったばかりなんだけど…恭也何時からいたの?」

「十分前」

「ほとんど待ってないじゃん」

文句言われる筋合いはない。名前は溜息をついた。

「…で、恭也はどうしているの?」

「迎えに来たんだよ察し悪いな姉ちゃん」

恭也は持っていた青い傘と水色の傘を二つの傘を見せた。傘を忘れていた名前にとってはありがたい話だが、つい何か裏があるのではないかと疑ってしまう。

「…今度課題教えてとかはないだからね」

「言わないって信用ないな」

「前科があるからね」

前に似たような状況になった時、恭也から後日課題を手伝わされたのを名前は覚えていた。

「しないよ。今日姉ちゃんの誕生日だろ?だから誕生日変わりだよ」

「…そっか今日私の誕生日か」

「忘れてたのかよ」

「うん」

ちぇ黙っておけばよかったと言う恭也から水色の傘をもらった。

「迎えに来てもらったのは嬉しいけど、これがプレゼントだと寂しいな」

「姉ちゃんなら言うと思った。帰ったらちゃんとプレゼント用意してるよ」

「本当かな」

「本当だって」

疑うように言う名前だが、さっきより疑ってはいなかった。なんだかんだで恭也は、優しい弟なのだちゃんとプレゼントは用意してくれている。どんなプレゼントなのか名前は楽しみになった。

「分かってるよ。早く帰ってプレゼントちょうだいね」

「せっかちだな。あ、姉ちゃん」

「何?」

「誕生日おめでとう」

「ありがとう恭也」








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