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 選択肢


「宮田先生は高級な腕時計と高級料理どっちが好きですか?」

「変なこと言うのなら帰ってください」

診察室に入った瞬間名前はそう言い、宮田は反射的に返した。

「変な事じゃないです私にとって重要です」

けど追い返されたくないからちょっと黙りますと言って名前は宣言通り口を閉ざす。宮田は淡々と診察を始める。診察といっても彼女の症状は手首の捻挫なので、経過を見るだけだ。すぐに診察は終わる。

「あと数日動かさなければ大丈夫です」

「ありがとうございます。じゃあさっきの続きいいですか?」

「ではお大事に」

「えー先生!?ちょっとだけでいいので付き合って下さいよ!」

「…少しだけですよ」

ここで断るとさらに面倒なことになりそうだったので宮田は渋々彼女の会話に付き合うことにした。宮田の返事を聞いてやったとガッツポーズを彼女を見ていると宮田はすごく後悔したくなった。

「さっきのはですねーどっちか先生にプレゼントしたらデートしてもらえるんじゃないかなって思いまして」

「物で俺がつれると思ってるんですか。大体その二つ貴方に用意できませんよね」

「痛いところつかないでくださいよ…夢くらい見せてください。けどデートしてくれませ
んか宮田先生」

「お断りします」

「言うと思いました!」

宮田が冷たい態度をとっても名前は落ち込む様子はなく、むしろさらにテンションを上げようとしているようだった。
早く終わらせたい宮田は大人しくしてほしいと思っていた。そこで、
「貴女が色仕掛けをした方が物よりかはつられるかもしれません」

ぼそりと言った。これで少しは黙ってくれるだろう。それだけのために宮田はなんとなく言っただけだった。しかし名前は違う風に捉えたらしい。さっきまでの勢いがなくなってしおらしくなった。

「…私が色仕掛けしたら宮田先生は考えてくれますか?」

何をとは彼女は言わなかった。首を傾げる姿に宮田は数秒思案する。そして口に出した言葉に彼女はどんな反応をしたのかは二人だけの秘密である。








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