○折原臨也バースデー2020 | ナノ
『……先輩。またサボり?』
『サボりじゃありません、熱や頭痛もなくただ機嫌が悪いだけの立派な体調不良です』
『そんな堂々としたサボり方ってある?いっそ清々しいね、』

保健室のベッドから力なく顔を出していた名前の姿を思い出す。そういえばあの頃の彼女はしばしば倒れたは保健室に運ばれてを繰り返していたと、彼女が卒業してから知った。



つんと消毒の匂いが鼻につく。どうやら保健室は休日でも機能しているらしい。そっと覗き込めば、中からは人の気配がしたので足早に通り過ぎる。

「…懐かしいね。名前はよく保健室で堂々とサボってたっけ。あれはさ、保健医に色目でも使ってたの?」

茶化したかのように問い掛ければ、彼女は一瞬だけその目を見開く。そうして何かを言いかけて、口を噤んでからまた表情の読めない顔でふるふると首を横に振った。

「…いい加減、君の正体を種明かししてくれてもいいんじゃないかと思うけど。確か名前には妹もいなかった筈だし。名前の娘、というには君は些か大人び過ぎているしね。」

臨也の言葉に彼女は何も言わない。そんな彼女の瞬きの様子を見ながら、臨也もまたふいと溜息を吐く。

「…まあ、いいか。調べればいずれわかることだし。もしかしたら俺の頭が本当におかしくなって幻覚を見ている可能性もあるし………それか、君が本当にあの頃の名前なのかもしれないし。たとえば、死んだ君が余りにも俺が憎くて化けて出てきた、とか」

動揺を誘えないだろうかとそうおちょくってみたものの、どうやらそれは通用しないらしかった。彼女はその言葉につんと目を閉じると、欠伸をしてみる始末だった。そんな風に飄々とされると尚更、あの頃の名前によく似ていた。

「…もし君が本当にあの頃の名前ならば、俺はさぞ君に恨まれているんだろうね。わざわざこんな日に俺の前に化けて出てくるなんて。」
「……」
「まあ、別にいいけど。」
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