○折原臨也バースデー2020 | ナノ
『…先輩、短いスカートでそんな高いところに登るのはどうかと思うけど。君を女神の如く慕っている後輩達が泣くよ?』
『こんな見つけにくいところにいる私をわざわざ訪ねてくるのは君くらいだから大丈夫だよ。それより、何?また悪巧みしてるの?』

からからと塀の上からこちらを見下ろして名前は笑った。さながら、童話の中のチェシャ猫のように。
苗字名前は当時から不思議と臨也の目を引く存在であった。無個性な制服の上に首だけをすげ替えたような存在が羅列する中、彼女はどことなく大人びていたのだ。それは彼女が自分よりも2つ歳上である、という事実を差し引いたとしても。



「…随分と懐かしい場所へ連れてこられたもんだ。まあ、そうか。君が僕を招くなら確かにここしかないよね。」

すたすたと歩いていく彼女の後ろ姿は、来良高校の校門へと吸い込まれていく。休日ということもあってか、校門の前に人の気配はなかった。随分と様相は変わってしまっていたが、その風景に臨也は懐かしさすら覚えた。制服姿の彼女がいるのなら、尚更。

「こらこら、ちょっと待ちなよ。」

ぱしりと腕を掴めば、簡単に捕まった彼女は振り返り、まっすぐ臨也を見た。途端に自分が、学生時代に遡ったかのような気持ちになる。もしかして長い夢だったのではないかと。けれど見回してみても、自分が着ているのはいつもと変わらない黒いコートに黒いスキニーパンツだ。断じて制服などではない。

「…あの頃と制服は変わってるとはいえ、君は学校に入ってもなんらおかしくない存在だとは思うけど。俺はそうはいかないんだよね。一歩間違えたら犯罪者だ。」

そんな臨也の言葉に、彼女はさもおかしそうにくつくつと笑うと、臨也に手を掴まれたまままたすたすたと歩き出してしまう。

「……はぁ。昔から君はそうだったよね。俺のことを振り回すのがさぞ楽しそうだったよ。懐かしくて涙が出るね、」
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -