「…へえ。なかなかに癖のある人なんだね、偽名字ちゃんの好きなオリハラさん?って人は!」
吊戯の言葉にそうなんですよ。と返しながら、内心で「あなた方もなかなかに癖が強いですけど…」という言葉をのみこんだ。
「癖の強い幼馴染を持つと大変だよな、」
言いながらぽん、と名前の肩を叩いたのは、ジュン、と名乗った赤髪の男で、それに力なく笑い返せば金髪の男がそれをギロリと睨む。
「おい盾、それ誰のことだよ、」
「はっは!酔って女装する幼馴染を持ったらそりゃあ大変だよね!」
「安心しろしっかり吊戯も入ってるからな、」
その様子から、普段の3人の様子が容易に想像できた。自分と臨也とは全く違った幼馴染の関係を目の当たりにするのは物珍しくもあった。
「……仲がよろしいんですね。」
思わずこぼれた名前の言葉に、一斉に3人がこちらを見た。その様が示し合わせたように同じタイミングだったため、思わず小さく笑えば、吊戯が「なんだ、ちゃんと笑えるんだね!」と戯けてみせる。
そこでようやく、思っていたよりも神経が張り詰めていたらしいことに気がついた名前もまた笑ってみせる。
「…実は臨也くんって、カミヤさんに少し似てるんですよ。髪型とか体型とか、」
緊張がほぐれたところでそう言ってみせれば、「…そりゃお前、本当に大変だな…」と金髪の男が憐れんだような目を向ける。「失礼な!オレはただお賃金大好きな健全なお兄さんだよ!!」と叫ぶ吊戯を見ながら、やっぱり似てないかも……と名前は苦笑した。