首筋をべろりと舐め上げられ、唇の端から涎が垂れるのがわかった。それに気付いているらしい志希はぐるりと名前の体を自分の方に向ける。名前の胸に自分のそれを押し付けながら志希は名前の上でわざとらしく頬杖をついてみせた。
「ああ、かわいい…めちゃくちゃにしちゃいたいな、」
自分が優位にたったことで突然余裕を取り戻した志希は、「ツンツン」と口に出しながら人差し指で名前の唇に触れる。つけいるなら今だ、と名前が彼女を押し倒し返そうとすれば、「にゃはは〜ひっかかった〜!」と戯けた声とともに手首を押さえつけられてしまった。
今度はがぶりと首筋に歯を立てられ、名前はついに小さく悲鳴をあげた。その痛みに耐えていれば、今度は優しくべろりと舐め上げられ、体中におかしな力が入る。
「いいんだってば今夜は…キミはあたしにされるがままにしてればいーの、」
「…でも、志希の誕生日なのに…」
何故自分ばかり気持ちよくなっているのだろうと申し訳なくなりそう呟けば、彼女はまた目を丸くする。そうしてその目をふふふ、と緩めてみせた。なんだ、そんなこと気にしてたの。とでも言いたげに。
「いいからいいから…ほら、目つぶって、」
魔法みたいだ、と思ってしまう。いつしかすっかり形勢は逆転してしまった。言うことを聞かざるをえなくなるようなその甘い響きに目を閉じれば、彼女の手が胸に触れるのでまたおかしな声がもれてしまった。