○ありすいん | ナノ

いつだって息を潜めていた。
埃っぽい湿った空気の中で、わたしたちのキスはいつだって、暗闇に紛れていた。

「……何をしているんだ?」

だからこそ、その光にわたしは目を細めたのだ。切り開かれたカーテンの向こう、彼が目を見開く。

「……あの、申し訳ありません、御園ぼっちゃん」

わたしの隣で息を切らす三月をぼんやりと眺めながらわたしはうわごとのようにそう言った。いけないことをしている自覚は、あったらしい。
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