短編2 | ナノ




え?ひたぎちゃんとの馴れ初めですか??やだなーそんな恥ずかしい……うーん、どう話したものか。まあ御察しの通り、最初は勿論わたしから、ですよ?当たり前じゃないですか……え?今はどうなのかって?そんなの、ひたぎちゃんもわたしのこと大好きに決まって………なんですかその疑わしそうな目は。
まあ無理もないですよね。あんな全身を武装しているような頑なな女の子、そうそういないですから。でもなんていうか、そこがグッとくるっていうか、ほら、ひたぎちゃんって嘘が言えないというか良くも悪くもまっすぐじゃないですか。あんな危うい人間をわたし、知らないんですよ。ああでも、この人にわたし、人生を預けてみたいって、そう思ったんです………あ、ちょっとごめんなさいね。電話電話。
あ、ひたぎちゃん?どうしたの?………ああ、道が混んでるんだね。大丈夫、ちゃんと待ってるよ。わたしがひたぎちゃんを置いてどっか行くわけないでしょ。……うん、うん、はい。気をつけてね。

…ああすみません。実はこれからひたぎちゃんとデートで。ほら今日はその、7/7じゃないですか、だから、ね?…ああ大丈夫ですよ。彼女ちょっと遅れるみたいなので。まああなたとの会話はひたぎちゃんが到着するまでの暇つぶしなんですけど。ごめんなさいね、わたし、ひたぎちゃんが世界の全てなんで。
…でなんでしたっけ、ひたぎちゃんのパンツの話でしたっけ…………ってそんなのわたしが教えるわけないじゃないですか!まったく油断も隙もないですね。

戦場ヶ原ひたぎはなんていうかそう、生まれて初めての宗教、みたいな感じなんですよね。こう言ったら彼女、とっても嫌がるので内緒ですよ。
でもわたし、このままだらだらと人生を消費していくだけだと思ってたので。まさか女の子と付き合う日がくるとも思っていなかったし。
でもなんていうのかな…人生の酸いも甘いも噛みつくして、それで辿り着いた先がひたぎちゃんで良かったと今は思いますね。そうしてわたしもそれに見合うだけの重みを、彼女に返していきたいな、と思います。

………あ。ひたぎちゃんのエンジン音だ。…え?聞こえないって?あはは、わたしにはわかるんですよ。嘘じゃないですよ。………ほらね。クラクション。

それじゃあ。行ってきますね。……ああ、わかりました。ちゃんと彼女に伝えておきますね。お誕生日おめでとう、って。
…それでは。いってきます。


2018.7.7
ひたぎさんお誕生日おめでとう


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