テレビのライトが華々しく彼女を彩っていた。 当然のように澄ました顔をして彼女は大歓声を受け止めている。そう、そこはあなたがいるべき場所。そうしてわたしはひとり、テレビの前で無意味に爪を噛んでしまう。 そんな、彼女の晴れ舞台を純粋に喜べる立場だったなら、若しくは全くの無関係だったなら、若しくは彼女を育てたプロデューサーにでもなってみせられたなら。それならばわたしは満足できたのだろうか。 手元の携帯では、タイムラインを彼女の写真、絵、絵、写真が目まぐるしく流れてゆく。わたしもそんな風に、後ろ暗くない場所から彼女を祝えたら良かったのに。 そうではない。わたしはもっと獣じみた感情で、喉が乾くように一ノ瀬志希が欲しい。欲しくて欲しくて堪らない。 偶像崇拝では飽き足らない。わたしだけのものにしてしまいたい。 どうしてこうなのだろう、と思う。どうしてみんなのようにできないのだろう、と思う。どうしてわたしはこんなにも汚れた思いを、こんなにも薄汚い場所で燻らせるばかりなのだろう。 それならいっそ、出会わなければよかった?とさえ思う。けれど彼女と出会わなければ、わたしはこんなにも焼けつくような気持ちを知らなかった。自分が生きていることすら、実感出来なかった。 今感じるこの苦しみよりも、あなたを知らないまま死んでゆくほうがずっと辛い。それならばわたしは、この苦しみすらも愛していたい。 一ノ瀬志希、総選挙第6位おめでとうございます。 |