シャドー・ベール


夢中で踊ったわ。
みんなのつまらない噂話なんて耳に入らないくらいに。

踊っていると何だか私、雲の上をステップしているみたいに足元も頭もフワフワしたの。

私はあの娘みたいにお上品になんて振る舞えないし、彼みたいに優秀でもないわ。

でも見て。
こんなに夢中になって全てを忘れて踊れるの。
他の人が何を言っても気にならない。

決して上手なステップじゃないけれど私は踊り続ける。
どんなに素敵なドレスを身にまとっていても、どんなに優雅に踊れても楽しめなきゃ意味が無いのよ。

あの神話に出てくる可哀想な女神みたいにはならない。

嗚呼、聞こえる。
貴方もステップを踏んでいるのね。
一緒に踊りましょう。
きっと貴方と二人なら素敵なダンスになるわ。
貴方も予感しているでしょう?
最初はぎこちなくても二人で踊りましょう。
その次は小さな可愛い子も一緒に和になって踊りましょう。

その子もいずれは貴方のような人を誘って踊り始めるわ。

そうしたらまた二人きりで踊りましょう?

人生と言う名のワルツが終わるまで。

きっと、最後の時には私は皆に見守られて満面の笑みを浮かべてお辞儀をするの。

素敵だと思わない?




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