濡れる


雨の音、ひんやりとした窓ガラスに頬を寄せる。

そう言えばあの日もこんな雨の日だった。
大切な人を守る為。大切な人を残して私は逃げた。
必ず、必ず迎えに行くからと……

月日は流れ彼女が今どうしているのか分からない。
私は未だに心に誓った約束を守れていない。
あの子は私を恨んでいるだろうか?
まだ待っていてくれているのだろうか?

嗚呼、許しておくれ。

衝動的に裸足で外に飛び出した。
天を仰ぎ見る。顔に髪に身体に雨粒が降り注ぎ私を濡らす。
泣けない私の代わりに泣いておくれ。

さぁ、雨が止んだらいつもの顔でいつも通りの私に戻ろう。




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