「クラウドは、雪国育ちか?」
 ほろりと出た言葉に、自分自身で驚いた。彼の肌の白さを見て、ふと過った疑問だったのだが、口にするつもりはなかったからだ。
「あぁ、そんな記憶はある。けど、どうしてだ?」
「……いや、ちょっと思っただけだ」
 何か悪いことをしたわけではないが、居心地の悪さに目を逸らした。
「そうか」
 話はそれきりで、再び広がる沈黙。クラウドといるときは大概こうで、いつもならこの静けさが心地よかったりするのだが、今はどことなく気まずい。
 かといって離れる気にもならず(五月蝿いのに絡まれたくない)、ただ気持ちを持て余す。その時だった。
「お前からそんなことを聞かれるなんてな。まさに雪でも降るんじゃないか?」
 こちらを見る青い眼には、悪戯な光。からかわれているのだと気付いて、スコールは眉をしかめた。
「それはどういう意味だ」
「そのままの意味だが?」
「馬鹿にしているのか」
「まさか」
 肩を竦めた様は、馬鹿にしているようにしか見えない。スコールは心底、己の不注意さを呪った。だがクラウドは穏やかに笑む。
「お前とそういう話をするのもいいなって思っただけさ」
 緩やかな弧を描く唇が、その言葉を紡ぐのを、スコールは魅入るように聞く。甘みを含んだそれは、敵の甘言よりも質が悪い。
「俺は、ごめんだな」
「そうか。それは残念だ」
 再度肩を竦めたクラウドは、さして気にした様子もなく口を閉ざす。もしここで自分も悪くはないと答えていたら、何かが変わっただろうか。だがもはや考えても詮無いこと。スコールはクラウドから目を逸らした。






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