「……困ったな、オモイカネ」
「……お化けか界貨の取り立てですか。はあ……」
「ははっ、そう気を落とすなって」

 ニギハヤヒはおもむろに手を伸ばす。オモイカネの髪に指を差し込むと、緩く撫でたのちに、頭を抱き込むようにして引き寄せた。
「きみがお化けだろうと何だろうと、おれはきみの味方だ」
 額に唇を寄せて囁く。それだけに、オモイカネはその花顔に甘い色を乗せた。
「ええ、信じております」
 蕩けるような笑みを隠すように、密やかに身を摺り寄せて甘える。肌に触れるを許すオモイカネを見られるのは、ニギハヤヒのみだ。






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