褥の上でこちらに背を向けて座る神籬の、髪の結いを解けば彼はほんの僅かにその身を震わせた。白い襦袢を留める紐を引く手は、制止されることなく。そのことに安堵しつつ、すぐそこにある耳を柔く食んだ。深緑の香りがした。
 弛んだ合わせから忍ばせる手。触れる肌は温かく滑らか。厚くもない胸板に柔らかさなど欠けらほどもないが、それが神籬のものだというだけでひどく愛おしく感じた。触れることを許されている、これ以上ない免罪に欲が燃える。
「神籬、こちらを向かないか?」
 言葉を耳に吹き込むと、彼は躊躇いがちに従った。視界に映る、潤んだ瞳と染まった頬。微かながらも明らかな情欲の色を滲ませる彼に、珪孔雀石は堪らずその唇を奪った。
 口唇を吸いながら、その身を倒す。真白い褥に暗緑色の髪が緩やかに流れた。色濃い髪に神籬の白い身体の輪郭を際立つ。そうでありながら、辛うじてまとう白い襦袢の中で熱を持った身体が火照っている。倒錯的な色と色に目を焼かれそうだ。
 身体の形をなぞるように手のひらで撫で下ろす。神籬は何を感じているのか、静かに目を閉じてその睫毛を震わせた。






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