あなたは10分以内に3RTされたら、久しぶりに再会する二人の設定で同居して暮らし始めたアズマのヤマオモの、漫画または小説を書きます。 https://shindanmaker.com/293935 オモイカネとは小学校来の友人で、高校に入るまでをまるで兄弟のようにともに過ごしてきた。面倒くさがりでマイペースな自分と、生真面目でよく働く彼。全く合わなそうなのに、何故か妙に噛み合った。 それも高校が分かれることをきっかけに、会わなくなった。頭のいい彼は市外にある県内でも有数の進学校へ行き、自分はその場凌ぎのように地元の高校に進学。連絡を取り合うこともせず、社会人に至るまで全く顔を合わせることもなく過ごした。 ――運命の悪戯なのだろうか。就職した会社の近くに居を移そうと思い、ふと立ち止まった不動産屋の前での思わぬ彼との再会。面影を残しつつも元より有していた美しさがさらに洗練された佇まいに、見惚れたのは。 さらには互いに就職した会社が近いということもあり、ルームシェアということで同じ部屋を借りた。それも束の間で、今では同居状態である。 (あれからどれだけ経った?) ヤマトタケルはカレンダーを見る。上部に大きく書かれた7の数字。四月のルームシェアから三か月ほどか。最初の一か月は自分のことは自分でするという約束の元に行動していたが、翌月の大型連休で全ては早くも崩れた。所詮、自分には無理な話だったのだ。 相変わらずよく働く彼は、そんな面倒くさがりな自分への小言をちょいちょい零しつつも、家事をこなしてくれるようになった。代わりに自分は給与のほぼ全額を彼に渡している。自室で自堕落に過ごせる快適さを思えば、財布の寒さなど大したことではない。そうした同居生活が、早くも二か月が経とうとしていた。 「もう七月か……」 呟くと、隣に座るオモイカネが本を読みながらそうですねと返事をする。 「早いものですね」 何の感慨もなく言って、アイスコーヒーをすすった。 家具は互いに金を出しあって必要最低限だけを購入した。故にソファは二人掛けをひとつのみ。そして不思議なことに、本当に不思議なことに、そうして座っていて肩を借りあうことに何の違和感も抱くことがなかった。 クッションにするかのように彼に寄り掛かって、その手のグラスを奪った。微糖のアイスコーヒーを呷る。 「自分のを持って来なさい」 「いいだろ、一口くらい」 「何が一口ですか、全く……」 呆れた声、呆れた眼差し。だがそれ以上咎めるようなことはせず、逆に甘えるように寄り掛かり返された。 同性の友人にしては、近すぎる距離だろうか。幼い頃から仲が良くて、兄弟のように過ごしてきた。身を寄せ合うなど普通で、それを思い出した今となっては、同じことを繰り返すことに何の違和もない。だがそれは普通ではないことも、心の片隅で理解していた。 仮に幼馴染と言えたとしても、歳を重ねればその距離に変化が生じてもおかしくはないし、むしろあって然るべきだろう。なのに自分たちは今もってなお互いを乞うように身を寄せ合っている。離れていた時間を埋めるように、体温を分け合っている。 本に集中する横顔を盗み見た。昔から綺麗な顔だと思ってはいたが、大人になってさらに美しくなった。完成されたと言ってもいい美貌には思わず見惚れたものだ。そして彼は優れた頭脳の持ち主だ。誰もが欲しがる美と知性を有している。きっと求めれば何でも手に入れられるだろう。だが彼はここにいる。 「――なぁ」 「何です?」 「……なんでもない」 「何なんですか……」 問うてみたくて口を開いたが、急に怖くなって問うのをやめた。 何気なく彼の腰に手を回してみた。少しだけ腕に力を入れて、抱き寄せる真似事をしてみる。彼は動かない、逃げない、反応しない。何故そうやって平気で身を委ねていられるのだろうか。考えても他人の心など分かるはずもなく。 彼の首筋に鼻を摺り寄せた。相変わらず彼はいい匂いがする。 |