「エリオット、」

「気安く呼ぶな」


ナイトレイの一室にいる二人。ギロリと義兄のギルバートを睨むと、ギルバートはへにゃりと笑った。何がおかしい、と再び睨みつける。


「いや…やっぱりな、と思って」

「は?」

「そう言われるだろうと思ってたから、おかしくなった」

「……」


ベッドにごろりと横になって、はは、と困ったように笑うギルバートにエリオットはギルバートの顔の前に手を差し出した。


「…?何だ?」

「おら」

「っ!」


ぴんっと額に弾かれた指。所謂、でこぴん。いきなりの出来事でギルバートは何が何だかわからないといった様子だ。


「ど、どうしたエリオット…」

「仕返しだ」

「何のだ…」


額を抑えて少し涙目になっているギルバートはエリオットに何かしたのかと不安になる。


「いい。わかんねーならいい」


ふい、と顔をギルバートから背けると今度は枕を投げ付けた。


「や、やられっぱなしは、流石にオレも嫌だぞエリオット…」

「ならやり返せばいいだろ」

「っこの…!」


ぼふ、と鈍い音を立てて枕がエリオットの顔面に直撃する。無言になるエリオットに、やり過ぎたかとオロオロし始めるギルバート。


「ギルバート…」

「な、なん、だ?」

「仕返しは倍返しでいいか?」

「………え」






迷うことなく辿り着いたこの場所で
好きだという気持ちに辿り着いた







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