いっそ酷薄とも言える笑みも、全く恐ろしくなかった。脇腹への痛みも感じないほどに、沸き上がるのは苛烈な怒り。
 エリオットは感情に任せてオズの足を払うと、よろけながらも踏みとどまった彼を力任せに殴った。派手な音を立てて床に倒れるオズを、敢えて怒りを抑えて見下ろす。

「……だったらあんなの、くれてやる」

 ベッドサイドに立て掛けておいた剣を手にすると、鞘からそれを抜き、切っ先をオズの喉元にあてがう。僅かな痛みに眉をしかめたオズに思うのは、嫌悪と憎悪しかなかった。

「だから二度とナイトレイの敷居を跨ぐな。貴様も、ギルバートもだ」






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