やや離れた場所で、レイムが忙しなく書類を片付けている。そのスラリと伸びた長身を眺めながら、ギルバートはふと思い出した。

「レイム」

「はい」

「お前、脇腹弱いのか?」

「……はい?」

 書類の束を片手に振り向いたレイムが、困惑気味に首を傾げた。ギルバートはそんなレイムに歩み寄ると、その細腰へと手を伸ばす。

「この間、ブレイクに突かれて飛び上がってたから」

「ひ……、いえ、あの」

 脇腹辺りに触れると、レイムはやはり小さく肩を跳ねさせる。接触への緊張に身を強張らせた彼の眼は、僅かに不安げに揺らめいていた。
 ついそそられて、そのままそっと脇腹を撫で上げる。びくりと震えては固く眼を閉じたレイムに、ギルバートは薄く笑んだ。

「感じるのか」

「そ、そんな……!」

 ギルバートの呟きに、一気に頬を染め上げるレイム。ギルバートは喉の奥でくつくつと笑う。いつもとは違う戸惑い方をする彼に、新鮮味を覚えた。

「からかわないでください!」

 顔を真っ赤に染めながら逃げていくレイムを、ギルバートは笑いを堪えながら見送った。





‐‐‐‐‐
レイムはともかく、攻めギルの違和感といったらない。






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