初詣2 | ナノ

 


あれから池袋に着くと俺達は何故か駅前に留まっていた。ふと周りを見ると流石は元旦、着物姿の女性を時々見掛ける。だが男性の着物姿は一度も見てない。もちろん女物の着物姿も。


「んーそろそろ来るかな?」
「…おい、まさかと思うが誰かと待ち合わせしてるとかじゃないよな?」
「え?その通りだけど?」


その言葉に踵を返すも二人に袖を掴まれ未遂に終わった。


「離せっ!大体誰か来るとか聞いてないぞ!」
「そりゃあ言ったらイザ兄絶対に行かないじゃん!」
「兄…来…(イザ兄来ない)」
「当たり前だ!!」


必死に攻防戦をしていると、


「おい」


不意に声が聞こえた。それも今一番聞きたくない声が。思わず体を硬直させる。


「あ、静雄さん!明けましておめでとうございます!」
「明…御…(明けましておめでとうございます)」
「ああ、明けましておめでとう。……ん?」


急に背中に視線を感じる。背中に冷や汗が流れる感じがした。


「あ、そうだ!」


するとマイルの声と共に思い切り後ろに引っ張られる。バランスを崩した俺は倒れると思いギュッと目を瞑ったが、いつまで経っても痛みはなく頭と背中に何かが当たっていた。


「っぶねぇ…大丈夫か?」


至近距離で聞こえた声にビクリと肩が跳ねる。


「あ、ありがとう……」


一応礼を言い離れると顔を見られないよう俯く。今の所シズちゃんは俺が折原臨也だと気付いていないようだ。ホッとしたのも束の間、次のマイルの言葉で俺は絶望に突き落とされた。


「それじゃあ静雄さん、イザ兄の事好きにしていいから後は二人で楽しんでね!!」
「兄…頑…(イザ兄頑張って)」


そう言い二人は何処かに行ってしまった。ただ問題はシズちゃんだ。


「イザ兄…?お前……もしかして臨也、か…?」
「っ……!」

シズちゃんの言葉と同時に走り出すも帯を掴まれ完全に逃げ道を失った。


「逃げるっつーことは臨也なんだな?」
「…そうだよ」


バレちゃあ仕方ないと俺が振り替えると驚いた顔のシズちゃんが移った。


「何で手前、女物の着物なんて着てんだ?」
「無理矢理着せられたんだよ、あの二人にね。…似合わないだろ?」
「いや……似合ってると思うけどな」
「へ?」


どうせ、ああ、とか言って笑われるんだと思っていたが、シズちゃんは似合うと言い若干頬を赤く染めていた。


「あ、ありがとう……」


シズちゃんが予想外の言葉を言うから俺まで照れてしまったじゃないか。
「…なぁ臨也」
「…何?」
「初詣、行くか」
「……うん」


シズちゃんのまさかの誘いにぎこちなく頷くとシズちゃんは俺の手を握り神社へと歩き出す。俺も手を握られ少し後ろにいながらもシズちゃんの後を歩いた。繋いだ手が妙に熱かった。



20110101
すいません、まだ続きます。

一応、二人は付き合ってる設定で

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