※臨也先天的にょた
※名前:臨也→臨美
「のーぞーみー!!!」
「あははっ!ヤダなぁシズちゃん、そんなに怒っちゃって、カルシウムが足りてないんじゃないの?」
今日も普段通り原形を留めていない何処かの手摺を手にシズちゃんは俺を追い掛けてくる。シズちゃんは女子供は殴らないと言いながら自分だけには平然と殴りかかってくる。きっと、シズちゃんの中で私は“女”と認識されていないのだろう。
だが実際、私はモテる。容姿も自分で言うのもなんだが端正な顔立ちだしスタイルだって抜群で、よくスカウトやナンパにも遭った。胸もどちらかというと、ある方だと思う。
そんな私が“女”扱いされてないなんて。
まぁ…今までの事を思い出すと致し方ない気もするが、好きな人に女扱いされてないのは正直悲しい。とは言っても、ずっと私の片想いでこの気持ちを伝える勇気は無い。だって、どうせ伝えた所で答えは「NO」に決まっているのだから。
そんな事を思いながら暫く走り続けていれば漸く撒いたのか後ろを振り向くと誰もおらず足音も聴こえてこなかった。
「…はぁ……」
ずっと走り続けていたため疲れから大きく息を吐き脱力した。
シズちゃんから逃げれた安心と今は授業中という事から私はすっかり油断していた。
だから、背後からの気配に気付けなかった。
「……んん!?」
突然、背後から口を塞がれれば近くの倉庫に連れ込まれた。
「いっ…!」
そのまま床に押し倒され反射的に目を閉じ痛みから顔を歪めれば頭上から嫌な笑い声が響く。
「こんにちは臨美ちゃん。俺のこと覚えてる?」
ゆっくり目を開けば一人の男がいて先程の言葉に少し考える。
「……ああ、確か前に告白を断った」
「覚えててくれたんだね、嬉しいよ」
男はニイッと口を歪ませながら自らの足の上に乗っかって来れば慌てて抵抗するも足は男の体重で動かず、手も頭上で固定されているため意味がなかった。
「くそっ…退けよ!」
「あははっ!ダメだよ女の子がそんな言葉遣いしちゃあ」
そのまま頬を掴まれ顔を固定されれば男の顔が、あと少しで唇が触れる距離まで迫ってきた。
「あの時はフラれちゃったけどどうも諦めきれなくてさぁ。心がダメなら体だけでも…ってね」
「な…、んっ!」
相手の言葉の意味が直ぐ様分かり目を見開けば言葉を発する前にキスをされた。
「っ……」
唯でさえ唇が触れている時点で嫌なのに相手の舌が咥内に入ろうとしているのか舌でつついてくる。
絶対に嫌だと唇を強く閉じていれば、服の裾から手が入り込んできた。
「あっ…んうっ!!」
思わず声を出せば開いた口から相手の舌が入ってきた。
「っ…ふ……」
相手の舌が咥内を舐める感覚に感じるのは嫌悪感だけ。
すると裾から入っていた相手の手が胸を掴んだ。
「んんーー!!」
必死に嫌だと首を振るも意味が無いかのように揉んでくる。
「っは、はっ…はっ……」
「臨美ちゃんの胸、凄い柔らかいよ…」
漸く唇が離れ短く息を整えていれば耳元で囁いてくる。しかも手は胸を揉んだまま。
「いや、だ…っ…離して…!」
流石にここまでくれば恐怖から涙が浮かんでくる。
「ははっ、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。…ちゃんとキモチヨクしてあげるからさ」
「ひっ……!」
胸を揉んでいる手と反対側の手が太股に触れてくる。
――嫌だ、嫌だ嫌だ!!誰か助けてっ……
「っ――シズちゃんっ!!」
…ドゴッ!!
「臨美テメェ!こんなとこにいやがったの、か…?」
どうやらシズちゃんは近くにいたらしく俺の声が聞こえたのかドアを壊し中に入ってきた。
だけど目の前の光景を見て固まっているようだ。
…まぁ当たり前か……
何てったって嫌いな奴が目の前で強姦されかけているんだから。…いや、もうされているのだが。
そんな事を頭の片隅で考えていれば足音がした。
「テメェ…そいつに何やってんだァーー!!!」
すると目の前に風が通ったかと思えば急に軽くなり何かが壁に激突する音が聞こえた。
何かが、あの男だと気付いた時にはシズちゃんが気絶している男の胸ぐらを掴み外に放り出した後だった。
「シズちゃん……」
私が小さく名前を呼べばシズちゃんは私の方に近付いてきた。
「シズちゃ「何された」
「え?」
「だからっ…アイツに何されたっつってんだよ!」
私の言葉を遮るようにシズちゃんが怒るように聞いてくるから思わずビクッと肩を揺らして答えた。
「…キスされて胸揉まれて太股触られた」
「あのヤロッ……」
何故かシズちゃんは舌打ちして俯いた。
「シズちゃん…ゴメン」
「…あ?」
私が突然に珍しく謝ったからだろうか、シズちゃんは顔を上げ目を丸くしていた。
「嫌いな奴が強姦されてるトコなんて見たくなかったよね、ゴメン……。しかも助けてもらっちゃって…取り敢えずありがとう、流石に後でちゃんと礼はするからさ」
「だからもう戻っていいよ」と言ったらシズちゃんに両肩を掴まれた。
「シズちゃん…?」
「臨美…悪い」
「え?っ、ん…!?」
突然謝られ何でかと軽く首を傾げれば急に目の前が真っ暗になった。それと唇に柔らかい何かが触れる感覚。
私がシズちゃんにキスされてると気付くのに、そう時間はかからなかった。
触れるだけのキスをして離れたシズちゃんを唯唯呆然と見ることしか出来なかった。
「……何で?何でキスなんてするの?」
「…好きだから」
「…は?」
私の聞き間違いだろうか。明らかに可笑しい言葉が聞こえた。
「だから…会った時からテメェの事がずっと好きなんだよ!!」
顔を真っ赤にし叫ぶように言ったシズちゃんは嘘など言ってはいないのだろう。
でも、
「…嘘だ」
「嘘じゃねえ」
「嘘だ、嘘だ嘘だ!だってシズちゃん、ずっと私の事嫌いだってっ…言ってたじゃん!!」
「違う、本当は好きだった」
「嘘だ…信じれるわけないじゃん…」
「信じろよ。俺は嫌いな奴にキスなんかしねぇ」
真剣な目で見つめられ言われれば思わず涙が流れた。
「うう…っ……」
「え、ちょ、そんなに嫌だったのか?!」
「ふぇ…違うよバカァ〜!!私だって、私だってずっとシズちゃんの事が好きだったんだからぁ〜!!」
「え、」
グスグス泣きながら言った言葉にシズちゃんは一瞬動きを止めれば「ほ、本当なのか…?」と聞いてくる。
「う、ん…。でもシズちゃんは会った時から、気に入らないって言ってきたし、会う度に、喧嘩になるからっ…どうせ伝えたって断られるだけだって…っ…、あ……」
泣きながら必死に言えば、ふと、あることに気付き更に涙が流れた。
「…っ…で……」
「え?」
「何で…っ…何でもっと早く言わないんだよ、バカー!!」
「なっ…」
「わた、私…キス初めてだったのに…ファーストキスだったのにぃ〜!!絶対にファーストキスはシズちゃんとが良いって思ってたのにっ…よりにもよってドタチンでも新羅でもなくて全然タイプじゃない奴に奪われるなんて…っ…!!」
そう、実のところ私は今まで一度もキスしたことがなかった。それは好きな人がいなかったというのもあったが、シズちゃんに会ってから絶対にシズちゃんとが良いと思っていたのだ。
なのに、なのに…っ!!
「ひっく…うぅ…っ…」
「あー…あのよぉ、臨美」
「…なっ、何よ…っ…」
「その…テメェのファーストキス相手、多分俺だわ」
「…はぁ?」
シズちゃんのまさかの一言に変な声が出てしまった。だが、そんなことよりも気になることが。
「いや…いやいやいや、何言ってんのシズちゃん。私のファーストキス相手がシズちゃん?そんなわけないじゃん。だって一度もキスした記憶無いんだけど」
「だからその…前に屋上にサボりに行ったらよ、先にテメェが寝てて全然起きねえから寝顔見てたら…つい」
「ついって……」
でも確かに以前眠っていたら何か唇に触れた感覚がしたことがあったような…。ずっと気のせいだと思っていたのだが、まさかシズちゃんが……。
「っ…シズちゃんっ!!」
「うおっ!!」
私が思い切り抱き付けばシズちゃんはバランスを崩しながらも受け止めてくれた。
「本当に、ほんっとうの話だよね!?」
「あ、ああ…」
シズちゃんが照れたように頬を赤くして頷けば先程までの事など吹き飛んだように私は嬉しくなった。
「良かったぁ…私のファーストキス相手、シズちゃんだったんだぁ…!!」
ギュウッと力の限り抱き付いて言えば「臨美」と呼ばれて顔を上げる。
「改めて言うけど……臨美の事が好きだ。付き合ってくれ」
「…こんな私で良ければ喜んで」
こうして晴れて私達は“恋人”になることが出来た。
「臨美、帰るか」
「うんっ!」
あれから数日経ち、私達は一緒に帰るようになった。
今では校内公認のカップルとして有名だ。
因みに私を襲った男はシズちゃんのせいで人前に見せられないような顔になり、私が裏で情報を操り二度と表で生活出来ないようにしておいた。
まぁでも…
「あの男のお陰で付き合えたんだから…そこは感謝するべきなのかな?」
「?何言ってんだ?」
「う、ううん!何でもない!」
「そっか」
そう言い差し伸べられた手を私は迷う事なく握った。
さあ、今日も一緒に帰ろうか。
20101205
キタ初の臨也女体化…!
最近ハマってるんです臨也の女体化に!
思った以上に文章が長くなったのには自分でも驚いた。
また女体化書けたらいいな…というか書きます←
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