34、ブラックコーヒー | ナノ

 
 
今日、俺は池袋にあるシズちゃんの家に転がり込んでいた。

「…ねーシズちゃん、喉渇いた」
「あ?水でも飲んどけ」
「いや水って明らかに水道水の事だよね。水道水不味いから嫌」
「…じゃあ何が良いんだよ」
「気分的にはカフェオレ。だけどコーヒーでも良いかなぁ」

俺がそう言うと、シズちゃんはのそのそと台所に向かって行った。そして暫くガサガサしてれば何か見付けたようで此方に見せてくる。

「インスタントのコーヒーならあったぞ」
「わお、シズちゃんの家にインスタントとはいえコーヒーがあるとは思わなかったな」
「テメェ喧嘩売ってんのか」
「まさか。にしても消費期限切れてないよね、それ」
「…………ああ」
「いやいや今の間は何?!それ絶対に消費期限切れてるでしょ!!」
「大丈夫、まだ3日しか経ってねぇ」
「3日も経ってるじゃん!嫌だそんなの飲みたくない!!」
「じゃあ水かビールで我慢だな」
「うっ……」

水はまず論外でビールは飲めない訳では無いか味があまり好きではない。俺が悩んでいるのを余所にシズちゃんは自分の分だけコーヒーを作っている。

「…あーもう、シズちゃん!!」
「なんだよ」
「お…俺の分も、よろしく」
「…はいはい」

結局俺はビールより消費期限切れのコーヒーの方がマシだと判断してコーヒーを選んだ。



「……ほら」
「ん、ありがと」

シズちゃんは二人分のコーヒーを持って戻ってきた。

カップに触れれば丁度良い程の暖かさで、そういえばシズちゃんの作ったコーヒー飲むの初めでだなと思いながら取り敢えず一口飲んでみる。

「……ブッ!!」

一口口に含んだ途端、思わず吹き出してしまった。

「うわっ!テメッ、何してんだよ!!」

シズちゃんの怒る声も無視して俺はシズちゃんお手製のコーヒーを見る。

「…あのさぁシズちゃん、テーブルは後でちゃんと拭くから俺の質問に答えてくれないかな」
「な、何だよ急に」
「えーっと、取り敢えずシズちゃん、コレに何入れた?」
「何って…砂糖だが」
「うん、そうだろうね。じゃあさ、その砂糖どれくらい入れた?」
「…確か…大さじ7ぐらい」
「うんだろうね、だってコレ甘過ぎるもん!!」

そう、シズちゃんお手製のコーヒーはあまりにも甘かった。その甘さといったら俺が思わず吹き出してしまう程。

「ていうか普通コーヒーに砂糖そんなに入れる!!しかも大さじで!!え、何コレもしかして新手の嫌がらせ?うわーそれじゃあ大成功だよシズちゃん。流石の俺でも甘過ぎて無理、ダメ、飲めないよ」

飲めないと言いつつ試しに一口飲んでみる。うん、先ず喉が焼けるように熱いし一杯飲んだら確実に胸焼け起こすよ絶対に。

だが、そんな俺とは裏腹にシズちゃんは平然とした表情で言った。

「って言われても、俺普段こんぐらい入れるしな」
「……は?え、嘘、いや…マジで?」
「おう」
「うわぁ…シズちゃん、君一度病院行って尿検査してきなよ。糖尿病だって絶対」
「それ前にトムさんにも言われてやったけど異常無しだったぞ」

…流石はシズちゃん。体が丈夫なだけに内臓機能も通常以上なのかな。

まぁでも何だ、取り敢えず言えることは、


二度とシズちゃんにコーヒーは作らせない!!





20101122
ブラックが何処に消えた

タイトルお借りしました
-HANA 華風 KAZA-

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