可愛い、なんて思ったのは秘密



※キス有、2期設定









「立向居っ好きだ、俺とっ、付き合って、下さい!!」
「…は、はいっ!」


憧れていた、2つ年上の先輩からの告白。俺は迷うことなくその想いに応えた…



のが、2週間、前。


「はあ…」


ため息しか出てこない。

最近、綱海さんは俺を避けるようになった。言葉を交わすといえば挨拶だけ。俺が話しかけようとすると何かと理由をつけて逃げる。

(嫌われ、た…?)


俺、何かしちゃったかな…と、自分の言動を振り返ってみても思いあたることはなくて。

綱海さんは俺と別れたがってるんだろうか、むしろ最初から冗談だったのかも、なんて考えばかりが頭を過ぎる。

でも、このまま自然消滅してしまうのだけは絶対に嫌だった。









「綱海さん」


夕食後、キャラバンの外に綱海さんを有無を言わせずひっぱり出した。

長く続く沈黙に耐え切れなくなった俺が呼びかけるも、綱海さんは黙ったまま。

「綱海さん…俺、何かしましたか?」


視線を、合わせてもらえない。嫌だ。苦しい。


「立向居…」
「…!」


ようやく聞こえた、意を決したような綱海さんの声。
次に告げられるのは別れの言葉だろうか。視界がぼやけてきた。あれ、俺泣いてる?


「キス、していいか?」
「へ?」


予想外の言葉につい間抜けな声を発してしまった。
…キス?



「ずっと、お前に触れたくて、でも、なんか、歯止め効かなくなりそうで、」

嫌われるのが怖くて…と綱海さんが続けるのを黙って聞きながら、思った。


――本当にもう、この人はっ…いつもはノリで突っ走るくせに、こんなときだけっ!


「じゃあ今、してください。」
「!」


綱海さんが息を飲む。

前に立ち、挑戦的に見上げ、その時を待った。

綱海さんの顔が、近づいてくる。自然と、まぶたが落ちた。


チュ、と軽いリップ音。
額に、柔らかな感触。
……額?
もう!!


「綱海さん」
「…へ?んむっ」


ほんの一瞬。


「…立向居、お前、結構大胆だな」


顔を真っ赤にした綱海さんが呟く。


あ、珍しい顔…じゃなくて!
あれ、自分、今…
何した?!

(や、やっちゃったああ!!)


顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
そんな顔を見られたくなくて、綱海さんに背を向けて歩きだしながら一言。


「綱海さん」
「ん?」
「ずっと捕まえててくれないと、俺何処かに行っちゃいますからねっ!」
「ちょ!!」


慌てたように追ってくる綱海さんにおもわず笑みがこぼれる。

俺たちは、手を繋いでキャラバンに帰った。






***
企画参加楽しかったです。
ありがとうございました。

お題に反れているかが微妙なんですが…うーん。
立向居は綱海の赤面見て、綱海は立向居が自分からしちゃったくせに赤くなってるの見て可愛い、って思ってるんだきっと…!←

綱立大好きです^^*

渡霜
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