ご飯を食べ終え、薬も飲んだ後、神影は毛布にくるまってソファに座っていた。膝を抱えて座り込みながら、眠そうに船を漕いでいる。一二三は何度もベッドで寝るように伝えたが、神影はソファから移動しようとしなかった。

船を漕ぐ神影を見守りながら最低限のすべき家事を終え、ソファの前にひざをつく。


「神影ー、眠いならベッドで寝よ?」


神影はまたもや首を横に振った。


「ベッド使ったら、ひふみの寝る場所がないよ」
「俺っちは別に平気だから」
「いい。ソファで寝る」


首を横に振り続ける神影に、うーんと悩みこむ。すると、一二三の中でいい明暗が浮かび上がった。


「んじゃあ! 一緒にベッドで寝よ!」



+ + +



「一緒に寝れば俺っちも神影ちんも寝れて、一石二鳥!」と続けた一二三に連れられ、一二三の部屋へときた。


「はい、神影ちんが奥ね。つめてつめて!」
「・・・・・・」


ベッドを前に、一二三は早く早くと神影をせかす。
神影は言われたとおり布団の中に入り、ベッドの奥へと身体を移動させる。奥に入った神影を確認すると、今度は一二三も入ってくる。一人用のベッドに二人並んで向き合うように寝転がった。


「大丈夫? 狭くない?」
「だいじょうぶ」
「神影ちん、小っせーもんね」
「・・・・・・ひふみは?」
「俺っちもだいじょーぶ!」


一人用のベッドに二人で寝ているのだ。狭くないわけないし、快適ともいえないだろう。
神影は布団の中で足を丸め、布団を遠慮がちに引き寄せた。


「寒い? こっちおいで」


神影の行動に、一二三は腕を広げた。
誘われるままに一二三との距離を詰めると、一二三は神影に腕をまわしてギュッ、と布団越しに抱きしめる。


「どお? 温かい?」
「うん」
「苦しくない?」
「ん」


腕の中に納まった神影を見下ろして、一言二言声をかける。神影から帰ってくる声はだんだん小さくなっていき、そろそろ意識を手放しそうだ。一二三は腕をまわした手で優しく頭を撫でた。


「おやすみ、神影」



+ + +



隣から寝息が聞こえ始め、神影は瞼をあげた。
起こさないように顔を上げれば、一二三は瞼を閉じて眠っていた。規則正しい寝息が、心地よさそうだ。


「・・・・・・」


眠りに落ちた一二三を見ると、神影は腕の中で一二三の胸に頭を寄せ、わずかに聞こえる鼓動を子守唄に、そっと瞼を下ろした。



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -