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HQ夢
図書館にいる先輩に一目惚れしたアカアシの話
学校に設立されている大きな図書館、その一階の右側一番奥に設置されているテーブルの右から2番目の日当たりがいい場所。そこに決まって座って静かに本を捲る1人の女子生徒に目を奪われた。その漠然とした感覚はスター選手を見た時の感覚と似ていたのをよく覚えている。伏せた眼差しや横顔、細い指でページを捲る仕草、その一つ一つに目が離せなくて、その眼差しに見つめられたいと思ってしまった。それが毎日図書館へ通うようになったきっかけだった。
彼女は朝のHR前、昼休み、放課後の時間に図書館に来て静かに読書をしていた。学年はおそらく上。名前はわからない。部活は多分帰宅部。ただ遠くから彼女を見つけるだけ、だから彼女のことはなにも知らなかった。最初は見つめているだけで満足で時々その視界に映りたいと思うだけですんだ、見つめるだけに片想いだった。でも何度も図書館に通って彼女を眺めるたびその欲はどんどん膨れ上がって見つめられたい、話したい、触れたい...と惜しみなく溢れてくる。恋とは厄介なものだと思った。でもその感情に突き動かされる気分は、案外よかった。
「あ、あの...っ」
声に驚いて彼女がゆっくりとこちらに振り向いた。声が少し上擦って響いてしまったのが少し恥ずかしくてあっ...と口を噤む。恥ずかしい...みっともない...と悔やむものの声をかけてしまった以上取り下げられずそのまま改めて声を掛けた。
「あの...よかったら連絡先を教えてくださいませんか」
潜めた声で言うと彼女は驚いたように目を丸く見張った。こちらを伺うようにじっと見つめてきて、耳が熱くなる感覚がする。
「あ、えっと、怪しい者ではなくて...」
いや知らない男に突然連絡先聞かれるなんて充分怪しいだろ。と口から出た自分の言葉に突っ込む。「そうじゃなくて...」と訝しむ彼女になんとか言葉を探してぐっと拳を握る。
「貴女に一目惚れしました...!」
はっと彼女が大きく目を見開く。
「だから、もしよければ...連絡先を教えてくださいませんか」
なり行きで言ってしまった。引かれただろうが。いやでも他に言いようもなかったし...とぐるぐる考えているとふと小さく笑う声が聞こえて顔を上げた。
「うん、いいよ」
「...え」
「スマホ、今持ってる?」
「あ、は、はい!」
急いでポケットからスマホを出して彼女と連絡先を交換した。緊張して手が震えそうだった...いや震えていたかもしれない。夢みたいだ。
「君、名前は?」
「アカアシケイジです、2年です」
「アカアシくんね。私は3年のミョウジナマエ」
「ミョウジナマエ、さん...」
初めて聞く声と知った名前、向けられる眼差しに、身体の内側からなにかが込み上げてくる。嬉しくてたまらない。
「連絡、楽しみにしてるね」
「! は、はい!」
そうしてそっと微笑んだ彼女に、心臓がドクンと大きく高鳴った。やばい...遠くから見つめていた時より、この人が好きだと溢れて止まらない。
見つめるだけの片思いから一歩踏み出すアカアシ
彼女は朝のHR前、昼休み、放課後の時間に図書館に来て静かに読書をしていた。学年はおそらく上。名前はわからない。部活は多分帰宅部。ただ遠くから彼女を見つけるだけ、だから彼女のことはなにも知らなかった。最初は見つめているだけで満足で時々その視界に映りたいと思うだけですんだ、見つめるだけに片想いだった。でも何度も図書館に通って彼女を眺めるたびその欲はどんどん膨れ上がって見つめられたい、話したい、触れたい...と惜しみなく溢れてくる。恋とは厄介なものだと思った。でもその感情に突き動かされる気分は、案外よかった。
「あ、あの...っ」
声に驚いて彼女がゆっくりとこちらに振り向いた。声が少し上擦って響いてしまったのが少し恥ずかしくてあっ...と口を噤む。恥ずかしい...みっともない...と悔やむものの声をかけてしまった以上取り下げられずそのまま改めて声を掛けた。
「あの...よかったら連絡先を教えてくださいませんか」
潜めた声で言うと彼女は驚いたように目を丸く見張った。こちらを伺うようにじっと見つめてきて、耳が熱くなる感覚がする。
「あ、えっと、怪しい者ではなくて...」
いや知らない男に突然連絡先聞かれるなんて充分怪しいだろ。と口から出た自分の言葉に突っ込む。「そうじゃなくて...」と訝しむ彼女になんとか言葉を探してぐっと拳を握る。
「貴女に一目惚れしました...!」
はっと彼女が大きく目を見開く。
「だから、もしよければ...連絡先を教えてくださいませんか」
なり行きで言ってしまった。引かれただろうが。いやでも他に言いようもなかったし...とぐるぐる考えているとふと小さく笑う声が聞こえて顔を上げた。
「うん、いいよ」
「...え」
「スマホ、今持ってる?」
「あ、は、はい!」
急いでポケットからスマホを出して彼女と連絡先を交換した。緊張して手が震えそうだった...いや震えていたかもしれない。夢みたいだ。
「君、名前は?」
「アカアシケイジです、2年です」
「アカアシくんね。私は3年のミョウジナマエ」
「ミョウジナマエ、さん...」
初めて聞く声と知った名前、向けられる眼差しに、身体の内側からなにかが込み上げてくる。嬉しくてたまらない。
「連絡、楽しみにしてるね」
「! は、はい!」
そうしてそっと微笑んだ彼女に、心臓がドクンと大きく高鳴った。やばい...遠くから見つめていた時より、この人が好きだと溢れて止まらない。
見つめるだけの片思いから一歩踏み出すアカアシ