夏恋


真っ青な空。
向こうには入道雲。
夏だなぁと感じる、そんなお昼過ぎ。

ツナと獄寺は、並んで歩いていた。
涼しい図書館で、夏休みの宿題を片付けてきた二人は、後は遊ぶだけだと色々計画を立てている。
「また皆で海に行きたいな」
ツナがそう言うと、獄寺はすかさず「いいですね!」と返事を返す。
自分からどこに行きたいとは言わず、ツナの行きたい所が自分の行きたい場所だとばかりの獄寺。
そんな獄寺を、ツナは少し歯がゆく感じる。

自分達はまだ主従関係のままなのかと。
獄寺がツナをボンゴレ10代目として尊敬してくれているのは知っている。
でも、ツナは尊敬を恋人としての愛情に変えて欲しいと思っている。

「獄寺くんはどこか行きたい所ないの?」
ツナがそう聞いても答えは決まっている。
きっと「10代目の行きたい所」、そう言われる。
そう思っていたのに。

「10代目と2人っきりになれる所が良いです」

そんな答えが返ってきたから、ツナは思わずポカーンとしてしまった。
それを否定と勘違いした獄寺は、慌てて頭を下げる。
「すいません!恐れ多い事を言ってしまいました!」
獄寺は頭を下げたまま、顔を上げない。きっとツナを見ていたら、ツナの気持ちはすぐ伝わっただろう。
ツナは、顔を赤くして笑っていた。
本当に嬉しそうに。

「ねぇ、獄寺くん。顔を上げて?」
ツナの言葉に獄寺は恐る恐る顔を上げる。
獄寺の前には、大好きな人の笑顔。
「10代目!」
獄寺は、ツナに抱きついて、ギュウギュウ抱きしめる。
ツナは少しだけモゾモゾしてから、逆に獄寺を抱きしめる。

「獄寺くん、2人で遊びに行く計画も立てようね。海でも公園でも、どこでも君と一緒なら楽しいよ」
「10代目!嬉しいです〜!」
獄寺は泣き笑いの顔になった。
ツナは獄寺の背中をポンポンと叩いてから、獄寺を腕の中から解放する。
周りをキョロキョロしてから、ツナは獄寺の手にそっと触れてからギュッと絡めた。

「とりあえず、獄寺くんちに行きたいな」
「え…」
「そんなに可愛い君を見ちゃうと我慢出来ないよ!獄寺くんちでイチャイチャさせて?」
獄寺は呆気にとられた顔をして、でもすぐに笑顔になる。
そして暑い日差しの中、2人は手を繋いで歩く。
焼けそうに暑いからか、周りに人影は見えない。
大空を見上げる。
眩しい光。
大空が、僕らを2人きりにしてくれているみたいだ。君と2人きりで、夏を遊ぶために。
楽しい夏にしようね!



Happy end


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