SS「バカップル」 | ナノ

バカップル



今日はツナの家で奈々の手作りの夕食を皆で囲んでいる。
寒い日だったからか、ディーノがたくさん食材を持ってきたからかはわからないが、メニューは鍋だ。

「ママンの作るご飯は本当に美味いな〜」
幸せそうに言うディーノに、奈々も顔を綻ばせる。
「ディーノくんがいっぱい持ってきてくれたから作りがいがあるわ。いつもありがとう」
「こちらこそ、いつも美味しいご飯作ってもらえて嬉しいです」
奈々の手をそっととって軽く口付けするディーノに、奈々は頬をピンクにして照れる。

「ディーノさん…」
ツナまで照れてしまう。イタリアの人って皆あんな感じなのかな…と思ったが、獄寺はそんな事をした事がないなとふと思う。

「ね、獄寺くん。イタリアの人って皆あんな風にキスしたりするの?」
ツナは疑問をぶつけてみる。
「挨拶がわりって感じっすかね?」
「そうなんだ。もしかして獄寺くんも?」
「いや、俺は恥ずかしくて出来ません。まして敬愛する10代目のお母様にそんな事恐れ多くて…!」
顔を赤く染めてそういう獄寺に、ツナは本当に可愛いな〜とほこほこした。

そんな時、視線を感じてそちらを見ると、ディーノがじっとツナを見ていた。

「ディーノさん」と声をかけようとディーノの方を見ると、盛大にテーブルを汚しているのが見えて思わず笑ってしまった。
ツナが見ている方が気になった獄寺もディーノの方を見る。
こちらは呆れたように笑った。

「ディーノ…お前、顔に米粒ついてるぞ」
「マジかよ」
獄寺はそう言うと、当たり前のようにディーノの顔に手を伸ばし口元についた米粒を取り、それを自らの口に入れた。

「お前、食べ方汚い。落とさず食えよ」
「おぅ、気をつける。サンキュ、隼人」ディーノはそう言うと、獄寺の頬にチュッとキスをした。
獄寺は硬直する。
「おまえ、人前でっ」
「ん?何が?」
ディーノは、首をかしげて不思議そうに言う。
「ディーノさん、まさかこれも挨拶?」
「え?」
「男同士でも挨拶にキスするんですか?」
「まさか、そんな事しねぇよ」
あっけらかんと笑いながら言うディーノに、ツナは思わずツッこんだ。
「ディーノさん、獄寺くんも男ですよ?」
「…?そんな事知ってるぜ?」
「じゃあ何で獄寺くんにキス…」
「隼人は俺の恋人だから」
「…………えっ」
「あれ?ツナは知らなかったのか?」
「し、知らないですよ!」
ツナは獄寺の方を見る。
すると、獄寺はこれ以上ないくらい紅潮して、わなわなと震えていた。
持っていた箸をバンっとテーブルに置くと、「すみません10代目、お先に失礼します!」と叫びながら慌ただしくツナの前から姿を消した。
呆然と見送る皆をよそに、奈々とディーノだけが平然と会話を続けていた。
「ディーノくん、獄寺くんは恥ずかしがり屋なんだから、皆の前でいきなりは駄目よ?」
メッと笑顔で叱る奈々。
「ああいう所も可愛いんですよね。ヤマトナデシコって言うんでしたか?」
2人の会話に、ツナは疲れを覚える。

しかし、去って行った獄寺は間違っても照れて顔を赤く染めていた訳ではないと思う。
「あの、ディーノさん。追いかけなくても良いんですか?」
「今日は隼人んちに泊めてもらうから、食べ終わったら行くぜ?あいつ、腹でも痛かったのかな…薬買って行ってやろっと」
ニコニコしながら言うディーノは、恋で目が眩んでいるのか、獄寺の事をわかっていないのか、そんな返事をした。

もちろん、その日は獄寺の部屋の鍵はかけられたまま、開く事はなかった…。




Happy end…?



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -